第22話

かつては私も純真無垢な女だった。

 今となってはほとんど思い出せないけれど。


 おそらく、普通の両親によって人並みの愛情を与えられ。

 おそらく、普通だけど愛情深い恋人に大切にされていた。


 そう、きっと。


 純真だった頃の私の記憶で唯一はっきりと覚えているのは、私の身体を染める赤色のあたたかさ。

 それから冷たくなっていく体温と、虚ろを映した黒色の眼差し。


 そして私を喜んで犯す男たちの声。


 これは私が魔女になった日の記憶だ。

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