第19話

「あの時のアンタ、すごく汚らしかったもの。相当酷い生活だったのね、可哀相な子」


 下僕の顎に這わせた手付きを変える。

 慰めるように下僕の唇や、顎、喉を撫でると、私は彼の額に口づけを落とした。


「アンタを拾って正解だったわ。マニキュアも塗らせれば仕上がりも綺麗だし、私の髪の手入れも──なんだって上手なんだもの。それに、綺麗な子に育ったわ」

「ありがとうございます。すべてご主人様のおかげです」

「ふふ。私ね、アンタの目が好きなの」

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