毎朝の電車通学で見掛ける人が気になってます。

檸檬

あの日から今日まで。

第一話 気になる子

「おーい詠斗、聞こえてんのかー聞こえてるんなら返事しろー」

中休み、親友の飯塚彰都と話していた。自分はまた毎朝電車で見掛ける子の事をずっと考えてしまっていた。

「お前また毎朝見掛ける子の事考えてんの?」

「多分…なんでか分からないけどずっと考えちゃうんだよな」

こんな気持ちは初めてだった、何度自分で考えても分からない、自分は話したこともない毎朝見掛ける人に一目惚れしたのだろうか。

「それにしてもあのお前がそういう感情を抱くようになるとは、親友として誇らしいよ」

「なんで誇らしいんだよ」

「だってお前人生で一度も気になる子いなかったじゃん」

確かに自分は人生で一度も気になる子がいなかった、自分は相当女性に興味がないのだろう。そんな自分が初めて恋をするとは、考えてもいなかった。

「ところでお前はその毎朝見掛ける子と話したことあんの?」

「ないな、凄く話してみたいけど変人扱いされそうだし」

「お前、マジで言ってる?」

「マジだけど」

「好きなら自信持って話に行けよ、お前その感じだと後悔するぞ」

確かに彰都が言ってる事は正しいと思うが、側からみたらただのナンパしてる高校生に見られる可能性もある、ましては話しかけて嫌われるかもしれない。

「でも自分は恥ずかし過ぎて話しかけれないしもし失敗したら毎朝気まずくなる…」

「じゃあさ、お前は勇気を出してその子に話しかけてみるか、話しかけないで後悔するかどっちがいい?」

「うーん…」

自分は勇気を出して話しかけれるのだろうか、リスクもあるし。

「言っとくが、周りは全然見てないし興味ない、例え失敗したとしても別にいいだろ」

彰都が言ってることを信じてやってみる価値はあるかもしれない。

「分かった。明日話しかけてみるよ」

「よく言った!明日が楽しみだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る