第16話
顔を見れば堪えている感情があることくらい分かる。
それでも私は喉を熱くさせながらも気づかないフリをする。
そして罪悪感に呑まれそうになりながらも、一世が何も言わなかった事に胸を撫で下ろす。
あざといな、私。
そんなの分かっていたけど、さすがに今はちょっとキツイ。
俯いて無意識に握りしめた拳は長い爪が食い込むほど力が篭っていて、赤くなった爪痕は戒めのようだった。
気付いた譲は手を取り赤い跡をなぞる。
「お前が男を頼ったりするような女じゃないのは解ってるけど、お前がどうであれ俺はこの手放したりしないから」
「じょう―――、」
「もしこの手が俺を闇に引きずり込む手だったとしても、手を放したこと後悔するより何倍もまし。巻き込んだお前責めるより、引き上げてやれなかった自分を恨みたいって思う。
それくらいマジだから。一応言っとく」
どうしようもなく譲に惹きつけられていた。
同時に心が反発する。
眉間を寄せ、瞬きをすることさえ忘れる。
譲も同じように私を見ていた。
睨みあっていて、でも求めずにはいられなくて。
いつも私達はこうなんだ。
「それでもお前は、自分の抱えてるもん俺と分かち合えねえ?」
100%の答えを求めるような瞳が胸を締め付ける。
言葉が見つからなかった。
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