第14話

目を開けた時にはベッドの上で、そこに一世の姿はなかった。

代わりに譲がベッドサイドにいたことには驚いたけれど、もっと驚いたのは譲の方だろう。

何とも言えない表情で私を見ていた。



「どうして、」



ここが自分の部屋だと気付くのに時間はかからなかった。


自分の家なのにいつもと違う感覚。

この部屋に人の温もりがあることに違和感。




「一世に呼び出された。お前が倒れたって」


「わたし倒れたんだ」


「体調悪いか?」



そんな本気で心配したような顔されると針の筵にいるみたいだ。


首を横に振って応えると、熱あるんじゃねえのと額に手を当てる。


相変わらず温かい掌に心が緩む。




「……疲れてたのかも。もう大丈夫」


「大丈夫じゃねえだろ、」


「ほんと大丈夫だから」



哀しいほどに言葉が薄っぺらい。

零れ落ちる感情を両手を広げて掬いたかったけれど、今の私に出来ることはなかった。



それに気づかない譲じゃないはず。

受け入れるしか出来なかったんだと思う。



「つかすげー家。お前がお嬢なのは香澄から聞いてたけど想像以上だった」



短気な自己中男が歯切れ悪く笑うから、私はどうしようもなく泣きそうになって。

でも泣くことなんて出来るはずなくて。


そしてまた私は感情を胸の奥深くに隠して平然を装う。

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