第14話
目を開けた時にはベッドの上で、そこに一世の姿はなかった。
代わりに譲がベッドサイドにいたことには驚いたけれど、もっと驚いたのは譲の方だろう。
何とも言えない表情で私を見ていた。
「どうして、」
ここが自分の部屋だと気付くのに時間はかからなかった。
自分の家なのにいつもと違う感覚。
この部屋に人の温もりがあることに違和感。
「一世に呼び出された。お前が倒れたって」
「わたし倒れたんだ」
「体調悪いか?」
そんな本気で心配したような顔されると針の筵にいるみたいだ。
首を横に振って応えると、熱あるんじゃねえのと額に手を当てる。
相変わらず温かい掌に心が緩む。
「……疲れてたのかも。もう大丈夫」
「大丈夫じゃねえだろ、」
「ほんと大丈夫だから」
哀しいほどに言葉が薄っぺらい。
零れ落ちる感情を両手を広げて掬いたかったけれど、今の私に出来ることはなかった。
それに気づかない譲じゃないはず。
受け入れるしか出来なかったんだと思う。
「つかすげー家。お前がお嬢なのは香澄から聞いてたけど想像以上だった」
短気な自己中男が歯切れ悪く笑うから、私はどうしようもなく泣きそうになって。
でも泣くことなんて出来るはずなくて。
そしてまた私は感情を胸の奥深くに隠して平然を装う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます