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砂漠の鳥籠

砂漠の鳥籠

曇空 鈍縒

おすすめレビュー

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★★★
★30
11人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 森新児
    154件の
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    ★★★ Excellent!!!

    1210文字で綴られる美しく残酷な神話

    砂漠の王国が舞台である。
    かつてはなにもない貧しい国だったが、一人の女王が訪れ、さまざまな奇跡を起こして貧しかった集落を豊かな王国にする。

    女王はオアシスの中心に城を築く。
    城はどの部屋も出入り自由だが、女王は地下室だけはだれにも見せなかった……

    端正で詩的な文章で綴られた作品で、その語り口は小説より神話に近い。
    神話らしく女王の姿が詳細に描写されることはない(作者がそう意図している)。
    がその存在感は圧倒的で、読後に重く胸に残る。

    さえぎるものがなにもない砂漠と裏腹な「鳥籠」や「地下室」という言葉の暗い官能性にしびれた。
    わずか1210文字(!)で綴られた国家と女王、その歴史と悲劇に脱帽しました。
    10万字を越える長編に負けないスケールをたたえた傑作です。

    • 2025年3月5日 11:37