第二話 自信が無くて
2
県立
一年三組。その教室に入ると純白さが目に入ってきた。
白髪に同じく白い肌。青い瞳。それらが制服とベストマッチしていた。まるで天使のようだった。
そして――夜土佐奈でもあった。
「君は……」
僕は驚愕して言葉を続けられないでいると、彼女は辿を見遣り机に頬杖をついた。
「答え合わせと行きましょうか」
「なんで、この学校に? まさか昨日の出逢いは必然だった?」
「単純だよ。私は入学前の学校説明会で君のことを見たから。ボカロPさん?」
「どうして僕がボカロPであることも知っているんだ?」
「ユーチューブであなたが顔出しして楽曲制作しているのを観たことがあるからだよ」
全身の力がすぅっと抜けるように脱力した。
「なんかいろいろ安心したよ。ほんと、新手のストーカーかと思ったからさ」
そしたら女子のクラスメイトが教室に入ってくる。彼女の姿を見た途端、「何あれ」「関わらない方がいいよ」と口にしているのが聞こえた。
佐奈が俯いて溜息を吐く。
「……今更だけどなんでそんな髪型なんだ?」
「私はアルビノという病気なの。もとから体が作るメラニン色素がなくて……だからこれ、地毛なの」
「ふーん」
「あれ、それだけ?」
「だってそこには興味ないし。そんなことよりも君がどんな性格で、どんな人生を歩んできたか気になるよ。そもそも他人の容姿をとやかく言えるほど、僕はできた人間じゃないからさ」
「……」
彼女は辿のことを見据えていた。その瞳からは意外な動物を見るかのようで……あれ? 下等生物にランクダウンしている?
「君って格好いいね」
「奇遇だね。僕もそう思っていたよ」
「自分でも言っちゃうんだ!」
「うそ嘘、冗談冗談」
辿は笑って弁解する。
こうして始まる。彼女とのラブストーリーが。
そんな期待は、多分起きえないと思うが。
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