君色に染まれたなら

関ヶ原powerful!

君との日々

「ねえ、私達どこで道を誤ったのかな?」

 私の力ない声に彼はそうだな、と一瞬考える。

 今はどう答えたらいいか誰にも分からない。

「俺にも分からんし、上手く答えられない」

 偽りの運命なんて切り捨てちゃえ。未来は無数にあるから大丈夫だ、と私はいつも心のどこかで思っていた。

「俺がお前に惚れた本当の理由って雑草みたいなポジティブさと強さがあるから。俺にはそういうとこ全く無いからさ、チーコ」

「雑草って……。私、植物じゃないし」

 いつものように私達は冗談を交わす。

 何気ない毎日が永遠に続けばいい。

 そうすればこの嬉しさや悲しみは2人で共有できるのに。

 私は少し乱れた前髪を直す。

「終わりのない映画みたいにずっと続けばいいのに」

「俺もチーコと同じこと考えてた」

「サキ君も?なんか考える事は同じだよね、私達」

 高校を卒業したら、サキ君は私と別れるのかな……って考えてはたまに心が押し潰される。だとしても、嫌だな。サキ君は浮気もしないし、私なんかには勿体無い男だ。

あれから私は涙を数えながら夜を過ごした。

将来の事なんて誰にも予測出来ない。

自分の無力感に思わず唖然とする。

私はベランダの手すりに腰掛けて、自分の素足を見つめる。

夜空に輝く星々をイメージした色のペディキュアをお店で塗ってもらった。

「なんか……スマホの電波悪いかも」

 私はデニムのショートパンツのポケットから自分のスマホを出して、スマホの電波が悪いことに気が付く。

「俺のも。泊まってるとこが山だから、スマホの調子悪いかもな」

「そっか……」

 満天の星空が私達の目に映る。綺麗だな、と我を忘れて見入る。

 私は彼の手を優しく握り締める。

 彼も私の手を握り返す。

「2人だけの夜の空っていいね、サキ君」

「うん。俺もそう思う」




FIN

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