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 「今日は~お昼からお仕事~」 

 下手な歌を歌いながら、俺は自転車をこいでいつものコンビニでいつもの物を買って帰る。

 「むっ!」

 そして、昨日と同じように車が停まっていることに気づき、変な反抗心からまた今日も帰り道を変える。


 自転車を担いで神社に入り、賽銭箱にお賽銭の十円を入れ「お邪魔します」と一礼をする。

 また自転車を担いで、神社の裏にある階段を下りようとした時、その階段からカーバンクルが登ってきていることに気づく。

 「こんなとこまで来るなんて珍しいな。仲間でも探しに来たかな?」

 俺が聞いてみれば、カーバンクルはきゅいきゅいと鳴いて、神社の隣にあるボロい小屋まで跳ねていく。

 本当に仲間を探しに来たのか?

 俺は好奇心に駆られるまま、自転車を停めてカーバンクルの後を追う。

 


 ボロい小屋は今にも崩れそうな、本当にオンボロな木造の小屋で、所々隙間ができている。

 その隙間にカーバンクルは入っていく。

 隙間の大きさは、直径五十センチくらいで、ハイハイをすれば俺でも中に入れそうだった。

 その隙間から小屋に入ろうとして、ふとこれって住居不法侵入ってやつか?と考えたが、ここの一番偉い人にお邪魔しますって先に言ったしいいかと考え直して、改めて小屋に侵入する。


 

 中は床がギシギシと軋みながら、自分の脆さを訴えてくる。

 目的のカーバンクルは、なにかの前で、床にお尻をつけて座ってそのなにかを眺めていた。

 「なんだそれ」

 近づいて見れば、それは銀色に鈍く光る楕円形の機械だった。

 本当になんだろうこれ?

 持ち上げてみれば、それは両手で持てる程の大きさで、形は卵みたいだ。

 楕円形の中心には、琥珀色の、これまた楕円形の宝石がはめられていた。

 「綺麗だなぁ」

 マジマジと見ていると「おい君」とどこからともなく声がする。

 その声は、まるで俺の頭の中から響いてきているみたいだ。

 「な、なんだ?」

 「お?声が聞こえるね。ならば~」

 その声と共に、手に持っていた楕円形の機械が蠢く。

 さっきまで機械のようだったそれは、スライムになったかのように不定形になる。

 それは重力に反するように浮き上がり、宝石だった部分が目であるかのように、俺の顔の前に浮く。

 「君にしてみよう」

 そういうと、それは俺の口の中に入ってくる。

 あまりの不快感と、呼吸ができなくなり苦しくなって、俺は意識を失った。

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