第12話 てらそやま駅

今日は散々だった。

仕事でミスをしたとかそういうものではないが、何となく自分の中でタイミングというか歯車というか、何かが噛み合わない日だった。

なんとも微妙な時間に残業を終え、駅に向かう。

あと十分ほど早く切り上げることが出来れば、一本前の列車に間に合ったのだが。

次の列車まで一時間弱だ。

このまま駅で待機すべきか近くで暇をつぶそうか、少しだけ悩んだ後に結局近くの本屋に向かうことにした。

30分くらいだろうか、さして目的があった訳でもない。早々に飽きが来てしまった。

駅に戻ると改札前に急ごしらえのホワイトボードが置いてあった。

「てらそやま駅周辺にて不審物発見のため一時運行を休止致します」

頭上の電光掲示板にも運休中の文字が泳ぐ。

今日は本当にうまくいかない日だ。

ダメもとで駅員に再開の目途を聞いてはみたが、やはり分からないということだ。

もう夜も遅くなってきている。

私は出来るだけ安いビジネスホテルを探すことにした。せめてもの反抗だとばかりに、コンビニで酒とつまみを買い漁った。

予想外の手痛い出費だが、もう今日は諦めよう。明日の自分に丸投げしよう。

お疲れ様、自分。




不審物がご遺体だったということを、翌朝ローカル局のニュースで知った。

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