魅惑の引っ越し♡

まみ。

第1話 引っ越しの誘惑♡

「今日は時間ありますか?」


「はい。大丈夫です。そんなに引っ越しの荷物が多いんですか?」


「いえ。荷物は少しだけです。引っ越しを手伝ってもらったお礼をしたいと思いまして。」


「そんなこと気にしなくて大丈夫ですよ。」


「運んで欲しいのはこの箱です。」


「わかりました。あれ?思ってたよりも軽いですね。」


「わあ!すごい!ありがとうございます。」


「他に運ぶものはありますか?」


「これで全部です。先に始めていたら、ほとんど終わっちゃったんで。」


「そうだったんですね。待っててくれてもよかったのに。」


「じゃあ。新居に向かいますね。」


「はい。重いものは僕に任せてください。」


「次は私、これを運びますね。」


「あれ?それ、さっき僕が運んだ箱ですよ。大丈夫なんですか?」


「さっき見てたら、私にも運べそうだなと思って。」


「そうなんですか?」


「あっ!今、下から覗こうとしませんでしたか?」


「してません!そもそも覗けるほど短くないじゃないですか?」


「短いのが好みなんですか?」


「違います!そんなこと言ってません!」


「さて、荷物運びは終わりましたね。喉乾いてませんか?」


「そんなにお気になさらずに。」


「お水をどうぞ。」


「ありがとうございます。」


「飲まないんですか?」


「あ、はい。いただきます。」


「どうですか?」


「どうと言われても、ただのお水ですよね?」


「実は本当に、ただのお水です。あとこの服どうですか?」


「似合ってますよ。」


「嬉しい。他にもいろいろありますよ。好きなのを選んで欲しくて。」


「なんで僕が選ぶんですか?」


「他の服の方がよければ、すぐに着替えますので。」


「そのままでいいですよ。」


「なるほど。これが好きなんですね。」


「他に手伝えることがあれば、気軽に言ってくださいね。」


「そうだ!ベッドの組み立てもお願いしたいです。」


「わかりました。」


「ちょっと待っててくださいね。」


「はい。」


「お待たせしました。こっちです。」


「あれ?もうほとんど完成してませんか?」


「最後にどうするのかわからなくて。」


「これでオッケーですか?」


「はい。助かりました!」


「なんで最後だけできなかったんですか?まあいいですけど。」


「でもこのベッド。壊れたりしないですよね?」


「新品なんだったら、大丈夫だと思いますよ。」


「ちょっと試してもらっていいですか?」


「試すというのは?」


「ベッドの上に寝てもらえれば。」


「僕が寝るんですか?僕がここで寝るわけではないので。」


「えっ?ここで寝ないんですか?」


「いやいや。寝ないでしょ?」


「ここで寝てくれてもいいですよ?」


「いえいえ。自分の家があるので。」


「じゃあ私がそっちで寝ていいですか?」


「今作ったこのベッドがあるじゃないですか?」


「そういう感じで来るんですね?」


「そういう感じとは?自分で試した方が良くないですか?」


「女の人に怪我させてもいいんですか?」


「仕方ないですね。じゃあ僕が寝転がりますね。」


「じー。眠くないですか?」


「まだ昼間なので眠くはないです。ベッド、大丈夫でしたね。」


「もう起きちゃうんですか?もう少し試さないと。」


「もう十分でしょう。むしろ自分で試してくださいよ。」


「じゃあ今度は私が寝ますね。」


「僕は向こうに行っていますね。」


「ダメです。横で見ててください。」


「なんでですか?」


「えっと、急にベッドが壊れたら危ないじゃないですか。」


「わかりました。壊れそうになったら助けますね。」


「わあ!嬉しい!」


「いつでも大丈夫ですよ。」


「うん!いい感じです!」


「そんなに動いたら、本当にベッドが壊れそうですよ?」


「えっ?動かないんですか?」


「どんだけ寝相が悪いんですか?これ以上は試さなくていいんじゃないですか?」


「えっ?もう起きていいんですか?」


「そりゃ起きていいですよ。」


「このタイミングじゃないってことですね?」


「タイミングとは?」


(第2話に続く)

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