第32話 スパイスバトル開幕

アルヴェール中央広場──スパイスフェス会場


「さぁ、ついに始まるぞ!!!」


 司会者の声が響き渡り、アルヴェール中の人々が広場に集まっていた。

 至る所でスパイスの香ばしい匂いが立ち込め、祭りの熱気は最高潮に達している。


「さぁ、ここから始まるのは──スパイス料理の頂点を決める戦い!!

 各地から集まった料理人たちが、最高の一皿を競い合う!!!」


「スパイスバトル、開幕だぁぁぁぁ!!!!!」


ドォォォォン!!!!


 盛大な花火が打ち上がり、スパイスフェスが正式にスタートした。



各チーム、個性豊かな料理で勝負!


「すげぇ……!」


 レオンは、スパイスフェスに参加する料理人たちの屋台を見渡し、興奮を隠せなかった。


「どこも個性がバチバチに出てるな……!」


「見ろ、あの店!」


 ミリアが指を差した先には、ド派手な装飾が施された屋台。

 **「炎のスパイスマスター」**と書かれた看板が掲げられている。


「俺の料理は、スパイスの力で“超激辛”だぜ!!!

 “灼熱の地獄カレー”、挑戦者求む!!!」


「うわっ……めちゃくちゃ辛そう……。」


「ふふ……私のスパイスは“香りで酔わせる”のよ。」


 別の屋台では、エレガントな女性が静かに微笑んでいた。


「この**“魅惑のスパイスティー”**を飲んだ者は、誰もが虜になるわ……。」


「スパイスで戦う方法が違いすぎる!!」


 エリオットが驚愕の表情を浮かべる。


「ただ辛いだけじゃなく、香りや風味を重視したスパイス料理もあるのか……。」


「当然だ。」


 魔王が腕を組む。


「スパイスの奥深さは、単なる刺激ではない。

 味、香り、食感……全てを極めてこそ、真のスパイス料理だ。」


「おいおい、魔王が真剣に料理を語ってるぞ……。」


「それはもう“いつものこと”になりつつあるわね……。」


 ミリアが呆れたように肩をすくめる。



レオンたちの勝負メニュー!


「さて、俺たちの屋台も負けてらんねぇ!!!」


 レオンは気合を入れて、厨房に立った。


「今回のメニューは──**“スパイス爆裂チキン””だ!!!」**


「スパイス爆裂チキン……?」


「簡単に言うと、特製スパイスで漬け込んだフライドチキンだ!!!」


「えっ、それって普通のフライドチキンじゃ……?」


「甘いな、ミリア。」


 レオンはニヤリと笑い、スパイスの小瓶を取り出した。


「このスパイスがある限り、普通のフライドチキンにはならねぇ!!!」


──“五段階変化スパイス”!!


「五段階……?」


「そうだ!」


 レオンは、スパイスを鶏肉にまぶしながら説明する。


「このスパイスは、食べるごとに味が変わるように調合されてる!」


「味が変わる……?」


「最初の一口は“爽やかなハーブの香り”。

 二口目で“スパイスの辛みがじわっと”。

 三口目で“甘みとコクが広がり”。

 四口目で“スパイスの奥深い風味”が炸裂!!

 そして五口目で“旨味がピークに達する”んだ!!!」


「う、うおおおお……!!」


「なにその画期的すぎるスパイス!!!」


「まぁ、伝説のスパイスの知識を活かした“新たな調合”だからな!」


「……ちょっと、これは本当に優勝狙えるんじゃない?」


「当然だ!!!」



試食タイム!果たして審査員の評価は!?


「さて、試食の時間だ!!」


 司会の合図で、審査員が各チームの料理を試食し始める。


「次は……レオンたちの“スパイス爆裂チキン”だな。」


 審査員の一人が、黄金色に揚がったチキンを手に取り、一口。


「……っ!!?」


 最初はハーブの爽やかさが広がる。


 二口目、ピリッとした辛みが追いかけてくる。


 三口目、甘みとコクが増し、四口目でスパイスの奥深さが炸裂。


 そして、五口目。


「…………!!!!!」


 審査員の目が見開かれる。


「うまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「おおおおお!!! 審査員が叫んだ!!!」


「こ、これは……!! ただ辛いだけのスパイスではない!!!」


「一口ごとに味の変化があり、最後の一口で全ての旨味が頂点に達する……!!」


「なんという完成度の高さ……!!!」


 審査員たちは感動し、口々に絶賛の声を上げる。


「やった……!! これは……これは……!!!」


「俺たち、いけるぞ!!!!」

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