第25話 激闘…!?魔王と勇者料理対決

第26話「ラクダ肉でハンバーグ!?」


バハル砂漠──砂漠の料理対決、開始!


「おいおい……どうするよ、これ?」


 レオンは、目の前の食材を見つめながら腕を組んだ。

 ラクダの肉、デーツ、サボテン、砂漠塩。

 どれも見たことはあるが、調理したことはない。


「マジで、料理スキルが皆無すぎる……。」


「そもそも、ラクダの肉って食えるの?」


「食えるだろ、商人たちも食べてるみたいだし。」


「でも、どう調理するのが正解なんだ?」


 勇者パーティは、完全に手が止まっていた。

 一方──。


「魔王軍側、着々と調理が進んでおります!!」


「くそっ、あっちは完全にレベルが違う!!」


「バルド、肉の下処理は終わったか?」


「ふむ、ラクダ肉は牛肉に比べて筋が多い。しっかり叩いて柔らかくしている。」


「良い判断だ。」


 魔王は頷くと、ベルを見やる。


「ベル、デーツをどう活かせる?」


「うーん……そのままだと甘すぎるから、酢と香辛料を加えてソースにするわ!」


「それでいこう。」


 エリオットが火加減を調整しながら、冷静に言う。


「……これは、料理人のレベル差が明確だな。」


「「「ちょっと待てぇぇぇぇ!!!」」」


 勇者パーティが叫ぶ。


「なんでお前らそんな料理得意なんだよ!!」


「魔王軍の基本スキルだ。」


「戦争で生き残るには、まず食が重要だ。」


「生活力高すぎるだろ!!!?」


「やばい……このままじゃ負ける……。」


 レオンが唸る。


「なんか、逆転できる方法ねぇのか?」


「逆転も何も、そもそもまともな料理作れてない……。」


「……待てよ。」


 ミリアが何かを思い出したように呟いた。


「……レオン、前に言ってなかった?」


「何を?」


「お前……ハンバーグだけは得意だったよな?」


「……!」


 レオンの目が見開かれる。


「そうだ!! ハンバーグなら俺でも作れる!!」


「マジか!?」


「でも、ラクダ肉でハンバーグなんてできるの?」


「……できる!!!」


 レオンは決意を固めた。


「よし!! 俺たちはラクダ肉のハンバーグで勝負だ!!!」


「まず、肉を細かく刻んで……」


 レオンはラクダの肉を包丁でミンチ状にしていく。


「タマネギとかねぇから、代わりにサボテンを細かく刻んで混ぜる!」


「サボテン!? そんなので大丈夫なの?」


「サボテンには水分とほんのりした甘みがある。 これを活かす!」


「なるほど……!」


「それから、デーツをペースト状にして……つなぎに使う!」


「な、なんかそれっぽくなってきた……!!」


「塩と香辛料でしっかり下味をつけて……」


「で、どうやって焼くのよ!? フライパンなんてないわよ!」


「石を使う!!」


 レオンは熱した平たい石の上に、ハンバーグのタネを乗せた。


ジュゥゥゥゥ……!!


 焼き始めた瞬間、香ばしい香りが立ち上る。


「うおおお!! なんか、めっちゃ美味そう!!」


「これは……いけるかもしれない!」



料理、完成!


「さて……両チームの料理が完成したようだな。」


 ハッサンが両チームを見渡す。


「まずは、魔王軍の料理から。」


〈魔王軍チーム〉

【ラクダ肉のロースト 〜デーツソースを添えて〜】


 しっかりと柔らかく下処理されたラクダ肉が、じっくりとローストされている。

 濃厚なデーツソースがかかり、見た目も華やか。


「ほほう……これは上品な仕上がりだ。」


 ハッサンが一口食べると、表情が一変する。


「……うむ!! 肉の旨味とソースの甘みが絶妙!! 素晴らしい!!!」


「ふっ……当然だ。」


 魔王が満足げに頷く。


「さて……では、勇者チームの料理は?」


「こっちは……ラクダ肉ハンバーグだ!!!」


〈勇者チーム〉

【砂漠流 ラクダ肉ハンバーグ】


 ハンバーグの断面から、肉汁がじゅわっとあふれ出る。

 サボテンの水分が染み込み、デーツのほのかな甘みがアクセントになっている。


「……ほう?」


 ハッサンがスプーンを入れ、一口食べた。


──モグ……。


「……」


「……」


「………………!!!!」


「お、おい……大丈夫か?」


 ハッサンは、目を見開いたまま固まっている。


「な、なんだ……!?」


 そして──。


「う、うまぁぁぁぁぁい!!!」


「!?!?」


「これは……!! 予想以上にジューシーだ!! サボテンの水分が肉にしっかりと馴染み、絶妙な柔らかさを生み出している……!!」


「ま、マジか!?」


「デーツの甘みと砂漠塩の旨味が完璧に調和し……ラクダ肉の臭みが全くない!!

 これは……まさに砂漠ならではの逸品!!!」


「「「「おおおおお!!!」」」」


 勇者チーム、大歓声!!


「くっ……。」


 魔王軍側が、悔しそうに唇を噛む。


「まさか、勇者どもがここまでの料理を……。」


「……決まりだ。」


 ハッサンが両手を広げた。


「この勝負……勇者チームの勝利!!!」


「「「「やったぁぁぁぁ!!!」」」」

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