第2話 ~聖女リュナシア様 金縛り解放奇跡の真相に迫る!~

《Re:ルナ LIVE配信 特別編》

出演:リセル・エインフェリア(解説)/聖女リュナシア(当事者)

聞き専:教皇エドモンド(たぶん黙ってない)

演出協力:ルナフォン広報部(通称アーシェ)


 


画面がフェードインし、静かなBGMと共に、白銀の研究室風背景が現れる。


登場するのは白衣姿のリセルと、いつもよりちょっと硬い表情のリュナシア。


 


リセル

「皆さま、ご視聴ありがとうございます。今回は配信テーマを変更しまして……こちらの件について、正式に“科学的および信仰的観点”から再構築いたします」


画面下に表示されるタイトル:


> 『金縛りは神の試練なのか?』

~実録:聖女リュナシア金縛り伝説とその誤解について~




 


リュナシア(苦笑気味に)

「まったく……何が悲しくて、夢の話が教会の新聖典になるのかしら……」


 


リセル(静かに頷き)

「まず前提として、金縛りは**睡眠麻痺(sleep paralysis)**と呼ばれる現象で――」


画面に【理論図解:脳の覚醒と身体の反応遅延】が表示され、信徒たちはコメントで“難しいけど尊い”と絶賛。


> 「リセル様の説明、難解なのに癒し」

「白衣がまぶしい……」

「グッズ化はいつ?」




 


リュナシア

「……つまり、私が“恐怖の夜”と呼んでいたものは、科学的には“脳と身体の連携ミス”だったということですのね?」


 


リセル(真面目)

「そうなります。が――私が重要だと考えるのは、“その時にどう感じたか”です。

 聖女リュナシア様は、恐怖を前に信じる心を強く持ち、それによって自らを解放した。それは、たとえ生理現象であっても、“意味”を持ち得ます」


 


リュナシア(少し驚いたように)

「……それは、ゼロ・グレイス的観点かしら?」


 


リセル(頷いて)

「ええ。“真理”の再構築。

 出来事が偶然でも、それが**“意味”として刻まれた瞬間、それは“信仰の物語”になる**んです」


 


画面が切り替わり、「教皇エドモンド録音コメント」が流れる。


教皇の声(ノリノリ)

「ふむ、やはり私の閃きは正しかった!“睡眠麻痺とは神の試練である”――これは聖なる真理なのだ!!」


 


リュナシア(真顔)

「違いますわ」


 


リセル(小さく肩をすくめて)

「……とはいえ、民間信仰というものはこうして生まれるんですね」


 


画面下部、視聴者コメントが続々と流れる:


> 「聖女様の夢、深い意味があった……のか……?」

「金縛り体験を信仰に昇華するとは……」

「結局、奇跡ってなんなんだ……?」




 


リュナシア(小さく笑って)

「……でも、もし誰かが“怖い夜”を思い出す時、

 この話が“信じていれば、朝は来る”という希望になれるなら……それはそれで、いいのかもしれませんわね」


 


リセル(静かに)

「物語とは、本来そうして紡がれるものです。

 記録と解釈の狭間で、“意味”は生まれる――それこそが、Re:Lyunaです」


 


――そして最後に表示される、今回の配信タイトルの再解釈:


> 『金縛りの夜に、あなたの中の“信じる力”が目覚めますように』




 


教皇エドモンド(チャット書き込み):


> 「そして今ここに、“聖なる金縛り枕”の商品化を提案したい!!!」




ルミナフェニックス(画面外で羽音):「(また始まったわね……)」


リュナシア:「それは絶対に許しませんわ!!!!」

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