平凡男子高校生だけどハーレム作りたくてダンジョン潜ったらどうやら壮大な使命を託されたらしい
@sabamisomiso
第1話 その高校生、ハーレムを所望す
「ああああああ、彼女100人くらい欲しいわああああ」
そんな俺の虚しい心の叫びが教室にこだました。
どこぞのラブコメギャグ漫画のように彼女が100人欲しいなど馬鹿げていると思うだろう。
否、とても正気ではないセリフだと思うだろうが、現代日本においては割と冗談でもなかったりする。
2038年、世界中で突如として無数のダンジョンが発生した。
なんの前触れもなく発生したダンジョンは、世界中で大規模なパニックを引き起こし、元々ダンジョンがあった場所にいた人は行方不明に、興味本位でダンジョンに入った人のほとんどが死亡。世界中でとんでもない数の死者が出たのだ。
それからすぐに世界中でダンジョンに対する策を講じることとなり、軍隊や自衛隊を投入する国も現れたが、なぜかダンジョンでは銃や重火器などの現代兵器を使用することができなかったのだ。
結果、なすすべなくモンスターに敗れた軍隊は多大な被害を出してしまった。
この時、まだ気づかれてはいなかったのだが、ダンジョンに入った人は例外なく、「1つ」のスキル、いわゆる特異能力を授かること、そして個人にステータス値が割り振られることが判明したのだ。
人によって能力はまちまちであり、ある人は腕力が何倍にもなったり、ある人はオリンピック選手も顔負けの速さで走れたりと身体能力が向上するものや、炎を自由自在に出すことができる炎魔法や、大量の水を生み出すことができる水魔法など、まさにファンタジーと言わざるを得ないような能力まで確認できたのだ。
ステータス値に関してはダンジョンに入る前の元々の身体能力に左右されるようで、運動をやっていた人は体力や力が強かったり、勉強ができる人は魔法の威力に関わる「魔法力」ステータスが高かったりする。
ダンジョンに対抗する術はこの能力を利用するか、原始的な剣やナイフなどの武器を身体能力に任せて使用することだけだと判明したため、国が主導で「ダンジョン攻略ギルド」なる組織を設立した。
このギルドだが、ダンジョンアタッカー(通称アタッカー)を強さによってランク付けしており、EランクからSランクまでで区分けされている。
Eランクはほとんど素人、能力を使わない普通の人でも勝てるレベルの強さだが、Sランクともなるとその強さは一騎当千。軍隊が兵器を用いても勝利することが難しいもはや人間を卒業した存在といえる。
そんなランクだが、Bランクに到達するとなんと一夫多妻制度が適用されるのだ。どうやら強力なスキルや高いステータスを持つ者が子供を作るといくらかステータスやスキルが遺伝すると研究により発覚し、より強い者はより子供を作れ、そして早くダンジョンを攻略してくれ、という願いを込めて制度ができたらしい。
さて、ここまでダンジョンについて長々説明したが、こんなこと皆知ってる基本情報みたいなものだ。
結局俺が一番言いたいことは、ただ一つ。
「ハーレム作りてえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」
いや、男なら皆そう思うだろ?例外なくすべての男はハーレム願望があるだろ?あるよな?よし、ある。(確信)
そういうわけで、本日俺の誕生日である6月18日を迎え、17歳になりました~。
ダンジョンは17歳から入場が認められ、そこで初めて自分のスキルやステータスを知ることができるのだ。
授業中ダンジョンのことばかり(さらに言えばハーレムを作った後のこと)を考えていたらいつの間にか授業どころか学校が終わっており、教室に一人ぼっちだったのでとりあえず思ったことを叫んでみました。後悔はない。スッキリしたぜ。
そして俺は今ダンジョンの前にいる。ダンジョンの入口には受付があり、そこで初めてダンジョンに入場する人はアタッカー登録をして、ダンジョンに入場する権利を手に入れるのだ。
今日俺が来たダンジョンは高校の近くにある規模が大きめの「三鷹ダンジョン」だ。規模が大きい割に浅い層は難易度が低いため、うちの高校でアタッカーデビューした先輩や同級生がそこそこいる。俺も例に漏れず、このダンジョンでダンジョン童貞を卒業してやることにした。ちなみに本当の意味の童貞でもある。
まずは受付にいるお姉さんにアタックしてみようかな!
「すいませーん、アタッカー登録したいんですけど!あともしよければRine交換しませんか!」
「アタッカー登録ですね。それでは年齢確認いたしますので、身分のわかるもの、学生証や保険証などがあればご提示ください。」
「はい!これ学生証ね!なかなかイケメンでしょ?この時証明写真かなり盛れたと思うんだよね~いや実際本物もいい顔してると思うんだけどさ、証明写真でこの写りはなかなか貴重だと思うんですよね、お姉さんもそう思いませんか?てか、Rineやってr」
「ありがとうございます。確認できましたので、こちらの書類に必要事項を記入してください。書き終わりましたらまたお呼びください。」
「はい、わかりました。あの、すいません、もしかしてあんまり印象良くないっすかね?」
「そうですね、ナンパ慣れしてない童貞くさい喋りで見てる分には面白かったですよ。」
「あ、そすか、あざす」
どうやら俺の喋り方は童貞くさいらしい。童貞だからしかたねーだろクソが!!!!
まあお姉さんにはフラれちゃったけど、Bランクまで上り詰めればきっと自然と女の子が寄ってきてハーレムが勝手にできていくだろうし、気にしない気にしない!
俺は必要事項を書いた紙をお姉さんに出しながら、そう無理やり自分を納得させた。
ちなみにダメ押しでもう一度ナンパしたらガン無視された。サーセン。
〇〇〇〇〇
そんなこんなでダンジョンに入場できるようになったので早速入ってみようかな!
「ここから俺の伝説が始まるのか・・・」
そう独り言をつぶやきながら、程よく心地よい緊張感とともに一歩足を踏み入れた。
「まずはいいスキルを手に入れなきゃな!ステータスは後からでもつけられるから、頼むぜほんと!」
そしてダンジョンに入ってまず目に入った光景は、
「白」だった。
「ぽぇ?」
〇〇〇〇〇
えー、何が起こっているのか私にもわからにゃいのですが、ダンジョンに入ったらそこは雪国でした。否、雪国どころじゃない真っ白な世界でした。
「え、ん?ん?ホワット?何があった?事前に調べてた情報と違いすぎるんだけど?草原は?無機質な壁は?モンスターは?そうだ、スキルは?」
そう焦りながらもまずはスキルをチェックしなければならないことを思い出し、「ステータス」と口にする。
しかし、なにも出てこない。
「あれ、確かステータスって言えば持ってるスキルと能力値がわかるはずだったんだけど・・・」
目の前には変わらず白い世界が存在するだけで、自分がスキルやステータスを得た様子は微塵もない。
「困ったな、こんなこと想定してなかったぞ・・・。てか入口も無くなってるし⁉え、俺ここに幽閉されちまうのか⁉俺の伝説始まんないんだけど⁉まだ冒険の書すら作ってないのに冒険の書が消されたんだけど⁉」
もはや自分でもなにを言っているかわからないが、だんだんと諦めがついてきたため、とりあえず歩くことにした。
「うーん、ほんとに何もないな。自分が歩いている地面が地面なのかすらもわからん。感覚的には雲を歩いている的な?歩いたことないけど」
とにかく喋りながら歩かないと不安で押しつぶされそうで怖かったので、とりとめもないことをひたすら口にする。
突然だった。
目の前に黒い靄が発生した。
その黒い靄は空中に漂い、真っ白な空間に似つかわしくない存在感を放っていた。
なぜだか俺はその靄に触らなければならない、そう思った。
おもむろに靄に手を伸ばし、触った瞬間。
「・・・・・託すよ」
そんな声が聞こえた気がした。
〇〇〇〇〇
気づいたら俺は無機質な壁や床に囲まれた、資料で見たダンジョンの様子と同じ場所に手を伸ばしながら立っていた。
「・・・なんだったんだ?体は、なんともない・・・」
なにか声が聞こえたような気がしたが、あまり聞き取れなかった。
「まあ、とりあえずダンジョンに戻ったみたいだし、一安心、だよな?」
見覚えのある景色に安心しながら、改めてスキルをチェックしようと試しにステータスと言ってみる。
すると、ゲームのようなウインドウとともに自分の能力値とスキルが表示された。
「おお!無事にスキルとステータスをゲットできたか!どれどれ~・・・?」
一ノ瀬 託真
年齢 17歳
レベル 1
攻撃 【9】
防御 【4】
魔法力【3】
体力 【7】
速度 【5】
(所持スキル)
「ステータス吸収」「全体レベルアップ促進」「スキルポイント2倍」「****」
ほほ~う、なるほど。
これは、いわゆる
ハーレムもろたで〇藤!
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初投稿です。
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