第3話-① 目が覚めた世界は

私は、目が覚めると激しい頭痛に襲われ、しばらく視界が白かった。

起き上がろうと思っても、思ったように体に力が入らず、起き上がることができない。


「ん……」


全身に入れた力が、声に入ってしまう。

声になっているのかすら、私にはよくわからなかったが。


私が声を漏らした後に、誰かの声が聞こえてきた。


「……ちゃん? お姉ちゃん!?」


その言葉は、聞き馴染みのあるようなないような、でもとても懐かしさを感じる響きだった。


その声の主はどこか慌てた様子で、私にいろんな言葉を投げかけてきていたようだったが、体に力を入れるのが精いっぱいで、その言葉を聞くことができなかった。


しばらくして視界がぼやけて見えるようになってくると、私を囲って複数の人たちが立っているというのがなんとなくわかった。

だが、何かを考える余力すらなかった私は、ただ視界が定まってくるのを待つしかなく、ただ天を見つめていた。


だんだんと、人が周りに増えていっているということだけは分かっていたが、徐々に人が減っていき、私の目が見えるようになると二人の女性が目に涙を浮かべながら私を見つめていたのが分かった。


一人は私と同い年くらいの少女で、もう一人はなんだか身に覚えのあるような顔をしていた。

私が二人を交互に何度も見つめると、一人が口を開いた。


「菜乃華!」


その名前は、私の前世の名前だったはずだと、その時の私は思っていた。


「お姉ちゃん!」


少女も、口を開く。先ほどの懐かしさを感じる言葉と同じもの、そして同じ声だった。


だんだんと考える余力がでてきていた私は、その言葉について考える。

確かこの言葉は、日本語にあった言葉だと私は思った。だが、なぜ日本語が聞こえているのかが分からなかった。


そんなことを考えていると、また「菜乃華!」と声が聞こえてきた。

その声は先程の声とは違い、低い声だった。


その声が聞こえてからすぐに、男性が慌てた様子で、そして驚いた顔で女性の横に立ち、私を見下ろしていた。

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