消える死体
ツヨシ
第1話
あれは俺が十歳の時のことだ。
家のすぐ近所に空き地があった。
雑草だらけの小さな空き地だ。
ある日、その空き地の前を通った時、空き地から誰かに呼ばれたような気がした。
実際に声が聞こえたわけでもないのに、強くそう感じたのだ。
俺は雑草をかき分け、空き地の中に入った。
するとそこにいた。
そこだけ草が生えておらず、土むき出しになっているところに女の子がいた。
白いワンピースを着て頭に大きな赤いリボンをつけた女の子が、口を大きく開け、目を見開いて倒れていたのだ。
そして、どう見ても死んでいる。
俺は慌てて家に帰り母に言った。
「女の子が死んでいる」
母は驚き、俺と一緒に空き地に向かった。
しかしそれほど広くない空き地をどれだけ探しても、死んでいる女の子なんて見つからない。
俺は母にひどく怒られたが、それ以上に女の子がいなくなったことが不思議だった。
俺が高校生の時だ。
高校の近くに空き地があった。
雑草まみれの。
ある日その空き地の前を通った時、空き地から誰かに呼ばれたような気がした。
声は聞こえなかったが、なぜかそう感じたのだ。
雑草をかき分けて中に入ると、またいた。
白いワンピースを着て頭に大きなリボンを付けた十歳くらいの女の子が、口を大きく開けて目を見開いて、土がむき出しになっているところに倒れていたのだ。
俺は慌てて高校に引き返し、先生を呼んだ。
「空き地で女の子が死んでいる」
先生は驚き、俺と一緒に空き地に向かった。
しかしいくら探しても、死んだ女の子はいなかった。
「おまえは」
先生に怒られ、もう少しで親を呼ばれるところだった。
でもそんなことより俺は、女の子がまた消えたことが不可解だった。
おまけにその女の子は、小学校の時に見たのと、同じ女の子なのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます