合理主義男、恋しません。

芹沢 礼

合理主義男、恋しません。

この物語はフィクションです。


 一目惚れ、という言葉が世の中にはあるが、僕はそれをしない。中学一年生まではその傾向が確実にあったものの、それ以降は徐々に面食わなくなった。多分、歳が上がっていくに連れ、女性は化粧を覚え、(K-POPのメンバーみたいに)皆同じ顔に見える、とまではいかないが、皆顔が綺麗で、顔面の甲乙がほとんどなくなったからだと考える。小、中ではコスメティックが普及しておらず、すっぴんでの比較になるため、そこら辺はっきりしていたのだろう。そのため現在では、この子が特別良い!、というものがない。

 しかし、膨よかな方、悪くいうならデブは何度見ても惚れはしない。発展途上の国ならモテるかもしれないが、ここは日本、自己管理ができない運動不足の暴食野郎という認識だ。調べてみれば分かるが、遺伝子による太る体質というものはあるにはあるのだが、その影響は三割で、これを言い訳にしている人に限ってその生活習慣は悲惨なものだ。

 かといって、細すぎるのもダメだ。食を細くするのではなく、運動によって基礎代謝を上げて_____


 頭の中を見て分かる通り、僕は合理主義クソ野郎だ。自分では物事を理論的に考えようと意識して生きているつもりだが、人には距離を置かれる。別にそれが嫌なわけでもないので、頑張って直そうとも思わない。ただ、自分はまだ大人になっていないのだろうかと思うことがある。

 先ほど一目惚れについて考えていたのは、昨日久しぶりに会った友達に、「彼女できた?」と聞かれたからだと思う。全く、という答えを聞いた友達の鞄には、おそらく彼のパートナーがプレゼントしたであろう可愛らしいウサギのキーホルダーが付いていた。

 そう、僕は恋愛が苦手だ。理由もなにも、感情と感情のぶつかり合いこそが恋愛であり、得意の理論で測れるようなものでない。世間では、男は理論、女は感情、という両者の違いを表した言葉が存在する。これも僕の恋愛下手に拍車をかけているのかもしれない。

 自分としては恋愛はあまり意味のないものだと考えてしまう。しかし、そのようなエアプレイの、エビデンス無しの考えでは自分が納得できない。

 この物語は、恋愛の意味を探るべく、馴れ初め、告白、交際、いわゆる恋愛を経験するために奮闘する一人の合理主義男の軌跡であった。

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