改:どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

第1話 まさか異世界なのか・・どうやら違うようだ


「ステータスオープン」

・・・

俺の目の前に半透明のパネルが現れた。

夢・・じゃないよな?

俺はゆっくりと周りを眺めてみる。


俺の家だ。



俺もアラフォーと呼ばれる歳になった。

そして、収入が少ないと嫁に見捨てられた。

俺の家なのに俺が追い出された。

一時はその悲惨さに打ちひしがれたが、両親が健在なのが救いだ。

かつては公務員だったが30歳で体調を崩し、今は自営業者となり何とか食いつないでいる感じだ。

この社会は一度転んだ人間には厳しいらしい。


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さて、PCを開いたり本屋を巡れば「異世界」もの作品が目に入る。

おっさんになればなるほど、そんな世界に憧れというか、あっても面白いだろうと思う。

現実逃避か!


「ステータスオープン」

俺の口癖だ・・痛すぎる。

つぶやいたり念じたりするが、出るはずもない。

当たり前か。

ただ、毎日の嫁のストレスから逃避したくなっていたのは俺だけではないだろう。

せめて気持ちだけでもダイブさせてくれ。



俺の朝は早い。

時間は4時30分。

身の回りの雑事を片づけてコーヒーをれる。

椅子に座り、PCの電源を入れてコーヒーを飲む。

ふぅ・・おいしい。

コーヒーの香りが特にいい。

4時45分。

俺の時間ルーティンだ。

周りも静かでとても心地よい。


ん?

PCの画面の真ん中、まだグルグル回っているな。

朝は起動が早いはずなんだが。

・・・

遅い!

まだグルグル回ってるぞ!

ええい、まだか。


コーヒーをグビッと飲む。

あつっ!


俺はPCの画面を見ながら、いつもの習慣でつぶやいてみる。

「ステータスオープン」

!!

パッと自分の目の前に半透明の画面が現れた。

「うわ!」

思わず声が出る。

フリーズした・・俺がだ。

マジか?

俺はその現れた画面にそっと触れてみる。

チョン、チョン・・。

薄い膜に当たっているような感触がある。

どうやら触れられるようだ。

夢…じゃないよな?


PCの画面は接続された状態になっていませんと表示がでていた。

ネット環境がわるいのか?

やっとグルグルは終わったらしい。

それよりも、今はこの半透明の画面が気になる。


これって・・マジで異世界ものだよな。

画面を見ていくと名前がある。

俺の名前だ。

苗字は・・ないな。

やはりステータス画面なのか?

しかしなぁ・・ほんとに夢ってことはないよな。

取りあえず、自分の頬を殴ってみる。

ドン!

・・・

痛いな。

夢ではないようだが、他に確認する方法はないものだろうか。

そんなことを思いながらも半透明の画面を見つめる。


う~ん・・レベルは5。

いきなりレベル5か?

そう思ったが、たったレベル5と思うべきか。

小学生から高校生まで少林寺拳法。

今でも軽い基礎トレーニングは健康のためにやっている。


テツ

レベル:5

種族 :人

HP :50/50

MP :20/20

力  :43

防御 :35

敏捷 :55

技能 :37

運  :57

職業 :未設定


固有スキル

探索1


う~ん・・これが高いのか低いのか、良いのか悪いのか全くわからない。

固有スキル、探索1って何?

職業が未設定?


とにかく夢でなければ、今までの世界の事象が変わったということだな。

普通、こんな突拍子もないことを受け入れられるはずはない。

ただ、俺は少し変わっていると思う。

体調を崩してから、現代の社会常識に疑問を抱き続けてきた。

医者や有識者が良いと言っているものでも、時代が変われば変化する。

全く逆のことだってある。


オカルトは嫌いだが異世界転生など、その考えは理解できるものがあった。

今の世界がどうして1つだけの時空世界だと言えるのか。

シミュレーション仮説なんてのもあったな。

・・・

って余計な連想が浮かぶ。

それはいい。


さて、今の状況。

夢じゃなさそうだ。

そして、現実に起きていること。

それが事実であり現実だ。


実際に目の前にステータス画面らしきものがある。

俺は不安と同時に少しワクワクした。

もしかしたら、本当に異世界物語の始まりなのか?

初めてゲームをした時のキャラ設定をしている感覚に似ている。


時間はまだ5時になっていない。

いつもなら散歩するのだが・・少し外に出てみようか。

いや、危ないか。

この展開、ゲームやラノベなら魔物が徘徊してるだろう。

・・って、そんな急に・・違うな。

俺の頭の中でいろんなことが浮かぶ。


落ち着け!

世界が変化したのだ。

何があってもおかしくはない。

しかし、夢じゃないよな。

しつこく自分に問いかける。

異世界ものだな。

そう思わないと始まらない。

切り替えろ!!

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さて、これが現実として、お決まりの初期にやるべきことはレベルアップしかない。

ほんとに初期なのか?

いや、昨日まではいままでの世界だったはずだ。

う~ん・・全くの手探り状態だな。


頭の中で凄まじく思考が駆け巡る。

フフフ・・俺は自嘲する。

全く、何を高揚してるんだか。


そういえば、ステータス画面に職業未設定となっていたような感じがする。

ステータスオープンと頭の中で思ってみる。

パッとステータス画面が現れた。

なるほど、口にしなくてもいいようだ。

やはり夢ではないようだ。


職業のところにタッチしてみると、職業が選べるようだ。

表示されたのは5つ。

「戦士」

「魔法使い」

「盗賊」

「僧侶」

「テイマー」

魔法使いなんてあるのか。

まんまゲームだな。

僧侶って回復系か?

テイマー・・ペットを飼ったりしている人向けか?

俺の家では動物は飼っていないぞ。

俺が飼われてるってか?


さて、生き延びる可能性を考えたら盗賊か戦士だよな。

魔法使いというのも捨てがたいが。

ステータス的にはMPが低い。

各種職業をタッチしてみたが、詳しくは説明がない。

戦士を見てみると、武器を扱って戦う職種とある。

当たり前だろと突っ込んでみたくなる。

・・・

・・

俺は少し迷ったが「盗賊」を選択。

ピッと・・ん?

身体が少し軽くなったような気がする。

マジか?


おぉ、ステータスの数値が少し変化したようだ。

俺は思わずニヤッとした。


テツ

レベル:5

種族 :人

HP :50/50

MP :20/20

力  :43

防御 :35

敏捷 :57 +2

技能 :38 +1

運  :57

職業 :盗賊1


固有スキル 

探索1

忍び足1New

気配察知1New


なるほど。

固有スキルが新しく表示される。

忍び足に気配察知。

1というのは練度か何かだろうな。

とにかくレベルを上げなきゃな。

間違っていないと思う。

自己鍛錬でもレベルは上がるのだろうか?

俺は慌ただしくいろいろ連想していた。


何が何だがわからないが、本当にゲームのようだ。

やはり俺はワクワクしていた。

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