鈍色の心臓

もち

鈍色の心臓

 いつからか僕は胸の高鳴りを感じなくなった。あらゆることに興味がなくて、人生がつまらなくて、何もかもを諦めた。僕らの年代じゃ、きっと大学生活も恋愛も趣味も全力で楽しんでいるはずなのに。


 未曾有の出来事が僕らを襲って、傷つけて。それらは私の糧になるからと苦しい試練を私の前に山のように積み上げる。


 言葉を鵜呑みにして必死にやれば、疲弊して動けなくなる。疑惑の目を向けて言葉を聞かねば、逃亡者としてのレッテルを貼られ、ただ漫然とすぎる日々に嫌気がさす。


 こうして解決しないこれらを繰り返して、僕はついに鼓動さえも失ってしまった。多分、生きている意味を見出せなくなった僕への罰なのかもしれない。


 初めは新しい景色に胸を弾ませて、あれやこれやに目線を奪われては巡る季節に腹を立てていたのに、どうしてこうなってしまったんだろう。


 多分いつのまにか全部やらなきゃいけないことになっていて、義務感ばかりが僕を襲って、色づき輝いていた全部が気付いたら曇っていって、色褪せてしまった。僕の鈍色の心臓は全身に鉛色の血液を流して、全てを鈍色の一色に変えてしまった。ブリキの人形みたいにぎこちなくて、ずっと立ち止まったまま。


 いつか誰かが僕に魔法をかけてこの呪いを解いてくれるのかな。お姫様は王子様のキスで起きるというけど、僕には誰がいるんだろう。周りを見ても誰もいない、独りぼっちだ。


 未来に出会いを、可能性を、理想を求めるしかないのかな。この鈍色の心臓が再び色を取り戻すまで、僕は誰かを、あなたを探し続ける。今はまだ知らない愛すべきあなたを。

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鈍色の心臓 もち @mochichi_002

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