第12話

拓真side

今、天音と二人。蓮と歩美とは別行動中。でもなんか、めっちゃ嫌な予感がする。

「ごめん、天音。蓮探してきて。俺、歩美探すから。」

「どうしたの?」

「無性に嫌な予感がする。たぶん蓮はトイレとかいるから。」

やばいな…どこ行ったんだ…

「~~。~?」

「~~~~!!」

話し声が聞こえる。歩美の声だ。またからまれてる。

「おい。歩美に何してんの?」

「げ、またお前か。なんでもありませ~ん。」

そういってナンパ野郎は逃げていく。どうして歩美は一人なんだ?

「歩美。お前はニワトリかなんかか?俺、さっきひとりになるなっていったばっかだよな!?」

「だって蓮がトイレ行きたいって言うんだもん。」

「じゃあ、俺らに連絡しろ。」

「拓真~!歩美~!蓮いたよ!」

「蓮~!ごめんね。勝手にどっか行って。」

「連れてかれたんでしょ?きづかなくてごめん。にしても拓真は歩美の何?彼氏かなんかなの?」

「歩美…蓮に言ってないのかよ。」

「言いたくないって言ったじゃん!」

「蓮が知らないとややこしくなるんだけど!?」

「二人とも落ち着いて。蓮、歩美はまだ言いたくないらしいから言いたくなったら聞いてあげて。」

「…わかった。」

不服そうな顔でうなずいた蓮。まあ、彼女に秘密ごとなんてしてほしくないのはわかるけど。


それから2時間。いろいろ回って、アイスも食べて帰る時間。方向的に俺は歩美と二人になる。はあ、今日は歩美のせいで疲れた。

「拓真~今日の夕ご飯なんだと思う?」

一言目がそれかよ。食い意地張りやがって。

「何食べたいの?」

「今日はオムライスの気分かな~。」

「連絡する?それとも俺が作る?」

え、なんで俺が作るかって?そんなの知るか。

「「ただいまー。」」

「あら、お帰り。今日は一緒なのね。」

今日は藍子さんだけか。

「藍子さん。聡子さんまだ?」

「そろそろ帰ってくるんじゃない?」

「ね~え藍子さん。今日の夕ご飯オムライスでいい?」

「いいけど。私、つくれないわよ?」

「拓真が作ってくれるって!!」

ガチャ

「ただいまー。拓真たちのほうが早かったか。」

「「「おかえりー」」」

「今日の夕ご飯はオムライスだよ!」

「拓真が作ってくれるんですって!」

「あら、拓真料理できたの?」

「…できるに決まってんだろ」


「「「「いただきまーす。」」」」

「ん~、おいしい!」

ほんとに歩美はおいしそうに食べるな~。作った側としてはうれしいけど。

「んで。拓真と歩美。今日のデートどうだった?」

「楽しかったよ〜!蓮がね、すごいかわいくて!手繋ご?って言ってきたけど、外ではヤダから、「ヤダ!」って言ったらあからさまにシュンってなっちゃったの。乙女か!?ってツッコミそうになっちゃった。」

「やだー、青春してるじゃない。拓真は?」

「天音は、ムダに干渉してこないから一緒にいて楽しいよ。あと、顔じゃなくてちゃんと内面見てくれてるから素直に嬉しい。」

「あらま〜あの拓真がこんなに成長してるなんて!」

「わかるよ聡子さん!だって、あんなに女子は近寄るなオーラ出してた拓真に彼女ができるんだよ?」

「藍子はどう思う?」

「家に女子しかいないで育ったのに女子苦手で将来心配だったなー。だからよかった。」

「そうだ!藍子さん!歩美にGPSつけて!」

「どうして?ストーカー?」

「拓真、そんな趣味あったの?そんな子に育てた覚えはないわよ?」

そう。聡子さんのいうとおり。聡子さんは俺の母だ。藍子さんが何者かって?歩美の叔母だよ。歩美の母がどこいるかって?歩美に聞いて。って違う!

「そんな趣味ないから。今日歩美が2回もナンパされたの!コイツ、強いのにその力発揮しないんだもん。」

「歩美!?どうして柔道習わせたかわかってないの?」

「だって、あの時は拓真がきそうな予感したからいっかな、って思って。」

「俺が来る前に対処できるなら、やっとけよ。」

「わかったわ。歩美のバレないところにGPSつけとく。」

「三人のスマホで確認できるようにしといてくんね?」

「了解。」

こんな状況がアイツに見られてたなんて…

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