第4話 昇天んだ(とんだ)

 あら、先日の子がもう来ちゃったわ。

 何か聞き覚えのある声が。


『あら、起きたのね。お久しぶり?少しは世界が楽しめてるかしら』

『女神さ…ま?』


 前世の姿で土下座した。


『あら、器用ね。それにしても、いや面白いわねー』

『面白いですか?』

『ええ、あなた最初ここに来た時、魂が不定形で、しかたないから対応できるように転生させたのよ』

『それで、スライムっぽい何か』

『ただね、魂の強さの関係で、どうしようもなさ過ぎて、あのサイズに成ったの』

『なる…ほど?』

『そしたら、もうここに来ちゃうし。って、あなた神樹の実を食べちゃって、ここに飛ばされたのね』

『神樹の実?そういえば少しぼやけてたはずの思考が、前世並みにはっきりしてるな。というか今なら前世の内容も全部わかるな』

『あら、進化したのね。ならきっと、ここはそれが終わるまで待機所夢みたいなものよ』

『進化ですか、サイズはあのままがいいなあ』

『そう考えたのなら、そうなるでしょうね』

『なにやら眠う・・・』

『進化が終わって、現実に戻るのね。そうそう、私は死神なの、じゃあ頑張ってね』


 死神!?あぁ、そうかー死んだのを迎えに来てたんだから、それもそうか。

 進化も終わったようだし、まずはステータス。


名前:(未設定)

種族:ピコア2(ユニーク)

スキル:ステータス、消化吸収、魔力変換、体生成、浄化、治療、修復、精製、雷耐性、多重並列思考、分裂、統合、ブレス、熱無効、消臭、芳香、吸収変換、マーキング(臭素)、味覚、嗅覚、触覚、聴覚、感知、音、言語理解

解説:何でも消化吸収が出来るが、消化吸収には体が必要。サイズが小さすぎて、範囲攻撃以外が当たらない。ただし運悪く当たれはダメージを食らうと思われる。ユニーク種の為、今後どのような変化をするかは未知数。

加護:心優しき女死神の見守り


 ん-?ん?吸収変換が増えた?あとは種族名に2がついた?マーキング(臭素)一つづつ確認するか。

吸収変換:何でも吸収できるし、自由に変換できる、吸収したものに見合った量にしか変換できない


 錬金術みてーなものか、等価交換みたいな。


マーキング(臭素):芳香で出せる香りを、指定範囲に付与できる。時間は自由に設定できるが、他の匂いが混ざると、そちらの維持される時間に合わせて消えてしまう。


 ん-、芳香剤が作れると。そんな感じでいいよな。


 後のは、読んで字のごとく過ぎたので省略。


『もう三日はたつが、ちっこいスライムは、この中にちゃんといるんかのう』


 ん?なんか女性?着物が似合いそうな、薄幸美人さんだな。


『ぷるぷる、ぼくスライムじゃないよ』


 というわけで、まんまるボディ形成して登場してみた。

 目の前の美人さんがこっちにダッシュしてきて、かシャンって音がした、そして俺を買買い上げて持ち上げてうれしそうだ。


『無事だったんじゃな!何があった』

『ええと、神樹の実?とやらを吸収したら、強制進化が始まったらしく、その間意識が飛んだら、私をこの世界に導いてくれた女神さまに会いまして、ここは夢みたいなものだから、進化が終われば元に戻ると』

『導いたという事は、転生者か!あれ人じゃないのか?』

『ええ、元は他の世界の人間の男性でしたよ』

『おー、日本とか言うところか!勇者と同じの』

『あ、勇者とか、異世界転移や転生ってあるんですね』

『うむ、たまにおるのじゃよ。そして我に挑んで消えたのも多いのう』

『いやいや、ふつう挑まないでしょ』

『なので、皆言っておるぞ、勇者病重症者が現れたって』

『ふーむ、大変そうだ』


 ちなみにと、この世界について色々教えてくれた。魔法も、異種族も、魔王も、魔物も、魔物の王もいるらしい。

 それで魔物の王は進化してその魔物の中で最強というだけで、進化して強くなればなるほど賢いので、敵対しないでのんびりと、喧嘩売ってくる魔物だけ、対処しながら、生活を営むそうだ。

 興味をひかれたのは、オークの話でオークカラミティという、進化も何もしなくなってしまったものがいるらしい。強いものは奥さんが一杯なのだそうだが、このオーク、カラミタさんというらしいのだが、奥さん一人だけしかも尻に敷かれてて、かかあ天下らしい。強さはカラミタさんのが強いらしいんだけど。

 なもんだから、種を求めて他のオークがきても相手にされず、来たオークは妥協して、その群れの下の者とくっついては、群れを出てその先でオークキングなどに進化しては、増えて討伐されるを繰り返しているらしい。

 勇者病重症者が、そのカラミタさんに挑みに行くことがあるんだが、みんな戦闘を諦めてしばらく滞在すると、何処かえ行ってしまうとか。

 カラミタさんねえ…昔MMOの同じギルド内でよく遊んだ人に、同名のオークカラミティというユニーク種族に進化したモンスタープレイヤーがいたが、あってみたいな。

 他の魔物の王だと、奥さんだらけで増えすぎて、子供の管理が出来なくて、奥さんが全員手一杯だけど、多すぎて誰かを手伝うと不公平になるからと、手伝わないものだから、そうなると全部どこかにいって、新たな群れを形成するんだけど、群れ同士で潰しあって、又いなくなるらしい。

 で、一度そうなると誰も相手しなくなるので、孤高な状態でボッチな魔物の王ってのが、かなりいるらしい。

 寂しい、魔物の王同士で、集まって村を形成してるところが、世界にはいくつかあるとも言ってた。


 魔王は、魔族の王ってだけらしい。魔法が得意すぎるせいで、魔法職は必ず、弟子入りに挑戦するらしいけど、今のところ合格者は一人だけで、人族だから次代の魔王に成れないので、魔族は非常に困っているらしいとか。

 勇者病重症者は、その魔王にも戦闘を挑んで、消されたりするらしい。国際問題になるので止めたいらしいが、腐っても勇者なので、止められるのが結局魔王ぐらいという事だそうな。


『さて、これで大体この世界の事は語ったかの』

『それにしても、薄幸な感じの美人さんなんですね』

『ほほ、実はのこれはおぬしのおかげなんじゃよ』

『はえ?デトックス効果で若返ったとかなので?』

『でと何とかはわからんが、おぬしに綺麗にしてもらったらすこぶる調子が良くて、いつもの感覚で人化したら、老婆になるはずが、幼女に成ってな、慌てて調整したんじゃが、これが限界じゃったのよ』


 うひ、十万年若返ったみたいなのは、冗談じゃなかったらしい。しかし幼女姿も見てみたかったような。


『む、なんじゃ。邪な気配を感じたぞ』

『ああいえ、幼女姿でこう、抱えられたら、無害なスライムってことで、人里でも行けないかなと』

『ふむ?人里行ってみたいのかの』

『ええ、気に成りますけど』

『よし、じゃあ行ってみるか。登録すれば、単独でも行けるようになるじゃろうし』

『え、登録?魔物ですよ俺』

『大丈夫じゃ、カラミタとか、証明書もって普通に王都に買い物行っとるしの』

『ふむ?問題なさそう?なのか』

『おぬしの、儂にやったあれ、人にも出来るなら、引っ張りだこじゃろうな』

『なるほど?』


 うーん、デトックス行為を人に施すか…まあ、やらないとわからんな。


『よし、じゃあ行くぞ、希望通りにしてやろうかの。ちなみに儂はアルマグじゃ』

『名前はまだありません』

『よし、じゃあおぬしは『プニちゃん』じゃ』


 命名を受け入れますかだと…はいに決まってる!


名前:プニちゃん

種族:ピコア2(ユニーク)

スキル:ステータス、消化吸収、魔力変換、体生成、浄化、治療、修復、精製、雷耐性、多重並列思考、分裂、統合、ブレス、熱無効、消臭、芳香、吸収変換、マーキング(臭素)、味覚、嗅覚、触覚、聴覚、感知、音、言語理解

解説:何でも消化吸収が出来るが、消化吸収には体が必要。サイズが小さすぎて、範囲攻撃以外が当たらない。ただし運悪く当たれはダメージを食らうと思われる。ユニーク種の為、今後どのような変化をするかは未知数。神代龍のアルマグに命名され、眷属となった。

称号:アルマグの眷属

加護:心優しき女死神の見守り、アルマグの加護

命名者:アルマグ


 なぬ…神代龍…アルマグ…眷属…パス繋がったら、すごい力が湧いてくる感じはするんだが、幾らでも調整効きそうなところが怖い、吸収変換さんが悪さしてそうだ。


『えっと、眷属化したんですがこれ大丈夫ですかね』

『さあ、大丈夫じゃろ、ほら行くぞ』


 そういって、幼女モードになって俺を抱えたまま、飛び立った。

 めっちゃかわええ、守りたいこの笑顔系だ。美人さんモードの方が、個人的な意味では好みではあったが。心にしまっておく。


 などと思っていたら、あっという間についてしまった近くの町。


「お嬢ちゃん、飛んで来たみたいだけど、どこから来たのかなー?お母さんは?」

「おう、モンバンか、何気持ち悪いこと言っとる。我じゃよ」


 アルマグが身分証らしきものを提示しているが、幼女ボイスだけど、口調変わってないから違和感しかねえ。


「は、え!?アルマグさま?何があって幼女に」

「おう、このプニちゃんのおかげでな若返ってもうた」

「この、コアなしですかい?むしろ生きてるので?」

「生きておるぞ、プニちゃん挨拶」

「ぼくプニちゃん。スライムじゃないよ。ぷるぷる」


 頑張った、超頑張った、可愛らしく一寸高めの声で頑張ったけど、超疲れるな。最後のもちゃんと声に出しつつ、プルプルした。


「ほーれ、くすぐったいぞ。まあそのような訳でな、プニちゃんの登録も兼ねて来たんじゃ」

「なるほど、お通りください」


 そして、抱えられながら、邪魔にならない程度にいプルプルしつつ、一つの建物まで運ばれて行った。途中で、可愛っ!と言って気絶した女性や、お嬢ちゃん可愛いねえデュフみたいなのも来たが、全部衛兵が処理してくれていた。

 建物につくまで、かわいい連呼されすぎて、アルマグさんも結構恥ずかしくなっていたようだった。かわいい。

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