まだ五章しか公開されていないにもかかわらず、本作はすでに圧倒的な完成度を誇っている。第一章の展開は衝撃的であり、その結末はまるで鋭利な刃のように物語の核心を突き刺す。主人公には一切の感情の揺らぎがない。彼は復讐者でも、堕ちた英雄でもない。ただ純粋なる「悪」。彼は狂人ではなく、伝統的なアンチヒーローでもない。理性の極致に立ち、すべてを支配する存在こそが彼の本質である。
物語の設定は非常に魅力的だ。デスゲームという枠組みは決して珍しくないが、本作はその世界観の奥深さと細部の作り込みにおいて、明らかに他作品を凌駕している。ゲームのルール、プレイヤーの背景、神の干渉といった要素が段階的に明かされていく中で、次第に理解することになる、ここには「運」など存在しない。
テンポの面でも、第一章の進行速度は速いものの、それが圧迫感の演出を損なうことはなく、むしろ各シーンのビジュアルインパクトを最大限に引き出している。特に、主人公が“自殺”する場面は圧巻だ。彼には迷いがない。無駄な感情もない。ただ当然のように死を受け入れる。その瞬間こそが、彼という存在の本質を決定づけるものであり、彼の転生がいかなるものとなるのか、読者の期待を大いに膨らませる。
もし、表面上は「冷酷」でもなお人間らしさを残したキャラクターに飽きてしまったならば。もし、感情に縛られず、すべてを完全に支配する主人公を求めているならば、この作品こそ、あなたにとって最高の選択肢となるだろう。