俺氏、クズになる。

二旋風ノ万能人コラボまいまい

　僕はみんなのヒーローだった。

　いつからだろうか、それが嫌になったのは。クラクションに振り返る。その女の子が転ぶとは予想が付かなかった。しかもその先には圧倒的な破壊力。理解が追いつかない。無慈悲な質量を前に僕は立ち竦むしかなかった。思い直す。いいや、助けなくてはならないと。僕は自分を奮い立たせる。助けるのだ！目の前は勢いで覆い尽くされた。どうすればいいのかが分からない。どうしよう時間も無い。僕はとっさに手を伸ばす。彼女は一瞬、こちらを見る。涙を流していた。そして彼女も手を伸ばす。偶然にもにも➖幸運かな➖掴むことに成功すると僕は彼女を思いっ切り引っ張る。女の子って軽いんだな。そんな考えが浮かぶ。彼女は何かを叫んでいたが、そんな事はお構いなしに向かって来るものがある。女の子は助けた。もう問題ない。後は僕がこの力に呑み込まれるだけ。今までの人生、と言ってもただの優等生だったのだが。人生が走馬灯のように出て来る。そしてスローモーションで繰り広げられる全てがメリーゴーランドの様に回った。どうなってるんだ。あぁ、やってしまったと思う。いつものパターンだ。まただ、また人を助けてしまった。優等生なんかやっているからこうなるんだ。もう直ぐで迫ってくる。目の前を見、僕は➖恐怖！➖死を覚悟せざるを得ない。とっさに思いつく一つの言葉。”クズ“。なりたい一つの希望。あの自由で雄大な”クズ“に。もうトラックとは目と鼻の先。そして僕は砕かれる。