青春というものが持つ、繊細さや複雑さが強く感じられる作品でした。
主人公の美優は、同級生の朱里のことを心の底では軽蔑していた。
性格が悪く、陰で自分の悪口を言っている。それでも顔だけはいいという『顔だけ女』と感じていた。
だが、そんな美優が想いを寄せていた一ノ瀬くんが、朱里と付き合うことが決まってしまい……
この感じ、「青春あるある」な痛みだなあ、と思いました。
自分が想いを寄せるような異性なら、顔だけでなく人格、そして「生きる姿勢」だってしっかりとしていると信じたい。
でも、あくまでも普通の高校生に過ぎない。「とにかく彼女が欲しい」と思うことだってあるだろうし、「ちょっと顔のいい子」から告白でもされたらコロっと行ってしまうことだってあるかもしれない。
同性からすれば、「こんな女に引っかかる奴なんて、頭の軽い男に決まっている」くらいの感覚を抱くような人間は少なからずいることでしょう。
でも、自分の憧れている人間がそういう相手に引っかかってしまい、一挙に「理想」が崩壊してしまう。自分の思っていたような完璧な人間ではなかったのか、と思い知らされてしまう。
そんな痛みを味わった美優。彼女がそこで取った行動とは。
一ノ瀬くんが朱里を好きになったのは、本当に顔を見てだけの「軽いもの」だったのか?
朱里も陰口などを叩くことはあっても、本当に「顔だけの中身のない女」だったのか?
果たして、二人の恋愛はどういうものだったのか。顔しか見ていない、薄っぺらなものだと決めつけて良かったか?
詳細は本人たちにしかわからない。むしろ、本人たちにすらわかっていなかったかもしれない。
そんな青春の痛みが次々と波紋を生み、最終的にどんな「歪み」を生み出したか。
青春の繊細さを考えたら、この物語のような出来事は、今もどこかで起こっているかもしれない。そんなことを考えさせられ、色々な感情を揺さぶられる作品でした。