「初めての冒険」

結晶蜘蛛

「初めての冒険」


 冒険者ギルドに私は訪れたわ。

 あの寒村で終わるのはまっぴらごめんだったから。

 あの村、困ったときは呪文使いに頼るくせに、呪文使いを気味がわるいって遠ざけるのよね。

 そんな場所で一生を終えるのはごめんだわ。

 だから、辺境の都市にある冒険者ギルドを訪れたの。

 といっても冒険者の知り合いなんていないからさすがに戸惑ったわ。

 村にいたときは獣除けがメインだったから、「獣除け」や理性があまりない獣を支配できる「支配」、定番の「火球」などを使うことはできるけど、どう売り出せばいいか。

 まぁ、困ったら聞くべきよね。

 冒険者ギルドの受付に話を聞いてみると、最初期の等級で受けれる仕事はあんまり多くないし……稼ぎもいまいちだわ。

 くさいのは嫌だけど、下水道の掃除から少しずつやってみようかしら、と思っていたら、私に声がかかったわ。

 どうやら今日、冒険をはじめる子たちがゴブリン退治に行くのに、魔術師を探してたみたい。

 それで私に声をかけたようね。

 ……そうね、名をあげるために冒険者になったのだもの、初めから臆するのも嫌ね。

 だから、彼らと一緒に冒険に行くことにしたわ。

 重装備の聖騎士候補の少女に、獣人の格闘家、彼らと一緒に私たちはゴブリンの巣穴に潜入したの。

 私、実は野伏としての心得もあったから身のこなしには自身があるわ。

 あたしが先導しながら、ゴブリンの巣穴の中で罠を発見したりしたの。

 ……意外と厄介な罠が多いわね。

 鳴子の紐のそばに見えづらい紐をしかけてるとか……これ、村の近くで出てきたゴブリンよりもだいぶ知恵があるわね。

 と、ゴブリンに遭遇したけど、タンクの子が受け止めて、あたしと獣人の子で数を減らしていったわ。


「ここは私たちが受け止めれるわ!」

「呪文は取っておくっす!」


 と、そのとき、背後からいきなり壁が壊されて別動隊が襲ってきたわ。

 驚いた私はつい火球を叩き込んでしまったけど……たまたまいた図体の大きなゴブリンを巻き込んで倒してしまったわ。

 どうやら、あれが巣のボスだったようで……なし崩れになったところを全員でゴブリンを倒して終わらせたのよ。

 しかし、持ちこたえてクリアすることができました。全員で肩を組んで帰りました。

次からも冒険をいきたいとおもいます』

→『初めての冒険が終わって……3人で肩を支えあいながら、ギルドへ帰っていったわ。

 初めての冒険の報酬は……正直、割に合ってるとは思えないけど、彼女たちとはまた一緒に冒険したいと思ったわ。

 ええ、これが私たち3人が組んだ理由よ。

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「初めての冒険」 結晶蜘蛛 @crystal000

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