第4話

静けさの中近くの国道を行き交う大型トラックの車音だけが空しく響く。

先に着いたのはヨルだった。とりあえず階段に座る。

十分ぐらい過ぎた頃後ろから声がした。

「後悔してんだろ?」丸刈りの男トラオが不意に近づき言い放った。

俯いて階段に座っていたヨルが声のする方を振り向いた。『後悔ね…。あの時は後悔する暇もなかったよ。でも今は考えただけで崩れそうかもね』

内容をまだ伝えていないにも関わらずヨルの悩みを分かっているような言い方をしたトラオ。ヨルは内心凄いと思ったがそのまま流した。



『あと一回でいい逢わせくれ!そしたら諦めれると思う』


ヨルはいきなり感情的になり突拍子もない言葉を続けて口に出した。

丸刈りの男が嘲笑い言い寄った。


「ヘッヘッヘ。してんじゃん後悔。てか、俺に言うなよ!俺は、その娘を見たこともなければ逢ったこともないからな」


『…………。』


ヨルはうつむいた。


「…………………」


静かすぎる公園の中で二人は沈黙した。こだますのは車の音だけ。春の肌寒い夜風が二人の隙間を通り抜けてゆく。


沈黙は40秒ほど続いただろうか。静かな空気をうち破ったのは丸刈りの男だった。


「でもな、方法は一つだけあるな。」


うつむいてたヨルは方法とゆう言葉にだけ反応して沈黙を破った。


『なんだよ 意味深  方法って』


トラオに問いかけた。


トラオは自分の話に食いついてきたのを確認して、得意の嘲笑うような表情を見せつける。

実に不愉快な表情だ。

いつものことだからヨルは気にとめなかった。

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