【修正】サレ妻が推しに娘ごと溺愛されるなんて

AYUMI118372

第1話なにっ?

8月の暑い日。私、山村りさは3ヶ月になったばかりの愛梨奈(えりな)と買い物に来ていた。「暑いね〜。」って抱っこ紐の中を覗くと、ニコニコ笑う愛梨奈が自分のこぶしで遊んでおり自然に笑みがもれる。「えらいねー。すぐに終わらせて、帰ろうねー。」って言うと、自分のこぶしからこちらに目線を移し目が合ってニコって笑う。それだけで幸せになれる。エレベーターの前に10人ほどの列があり1回では乗れそうにない。(う〜ん。2階分おりるだけだし‥‥‥階段で行こう!その方が早い。)エレベーターを諦めて階段で降りようとした時に‥‥‥‥


ドーーン!!

右肩に何かがぶつかり前に強く押される。


咄嗟に手すりを掴む事ができて落ちる事はなかった。何かが確かにぶつかってきた。周りを見渡しても何も落ちてなかった。ぶつかってきたものはないという事か消えたか考えても何がおきた分からずに手すりを持ったまま放心していたら、《ぎゃー》っと泣きだした愛梨奈の声で我にかえる。「ごめん。ごめん。びっくりしたねー。」っとあやしながら〜(何かがぶつかってきた???う〜ん。)何だろうと思いながらも深く考えなかった。たいした事ないと思ったから。もっと周りを確認しとけばよかったと後々、後悔することになる。


家に帰ってきてからも1度も思い出す事もなく普段通り過ごした。その時は、まだ全然、重要な出来事と認識していなかった。


愛梨奈を寝かしつけが終わりソファーで休もうっと座ろうとした時にガチャっと玄関が開いて「ただいま〜。」っと周平が帰ってきた。


「おかえり〜。」


「愛梨奈は寝ちゃった??」


「うん。さっきね。あと10分早かったら起きてたかも」


「会いたかったー。」っと本気で悔しがる周平に子煩悩のパパ像を当てはめて疑う余地もなかった。


「ご飯食べるよね?」


「うん。食べる。着替えてくるね。」


りさは、シチューを温めながら買ってきたパンを切りながら今日の階段の出来事を急に思いだした。


「暑いのに〜シチュー!!」えぇぇぇーっと顔をしかめる。


「美味しいパンを買ってきたからね。暑くてもシチュー美味しいよ〜。」


『いただきます。』


「うまいっ!!」


「でしょ。」2人で笑い合う。愛梨奈が寝てからの周平の夕食の時間が唯一の夫婦の大事な時間になっていた。さっき思いだした事を忘れないうちに報告しようと話だす。


「あっ!聞いて聞いて!!今日、買い物に行って階段を降りようとしたら、何かがぶっつかってきて、もう少しで落ちるところだった。危なかったー。」胸の前で腕を交差して、ちょっと大袈裟に恐がってみせた。「気をつけて」ぐらいで終わると思ったこの話題が周平が思いのほか食いついてきたので不思議に思う。


「えっ。人?女?」っと少し恐い顔になった周平が聞いてくる。


「う〜ん。分からない。ドーンってぶっかってきて、ビックリしすぎて愛梨奈が泣くまでほーって放心状態だったよ。何だったんだろ??」


「誰か近くにいなかった?」


「いなかったような‥‥‥。」なぜか人だと確信している周平に違和感をもたなかった。


「何でエレベーター使わなかったの?」まだ恐い顔の周平が聞いてくる。(しつこすぎてイヤになる。)

早くこの話題を終わらせたくて面倒くさそうに答える。

「列が出来てて1回では乗れそうもなくて、階段の方が早いかなって思ったから‥‥‥。」


「これからは、絶対にエレベーターを使って。危ないよ!」っとまだ恐い顔のままで言ってくる‥‥‥。


(え〜。なんか大げさだなーめんどくさそう〜。)


「うん。分かったよ。」(今度こそ、この話は終わるよね?)


「ね!買い物行く時に誰かが家から付いてくるとかなかった?マンションのロビーに誰かいたとか?」

リサの願いも虚しく、この話題は続く。

(えっ〜めっちゃ聞いてくるじゃん。どうしたんだろう??めんどくさっ!)


「なかったよ!!階段ってマンションの階段じゃないよ。デパートの階段だよ!!」


「分かってるよ!これからは玄関出たら誰かいないか確認して!」なぜか徐々に声が大きくなる周平に「シー」っと人差し指を唇にあてる。


(めっちゃ眉間にシワが‥‥‥何で怒ってる?何で家の玄関??まぁ〜いっか〜。めんどくさいし!)


「分かったよ」って返事をする。


山村周平・りさは同じ大学の同級生で大学2年生から交際して24歳で結婚。6年目で待望の妊娠をして愛梨奈を出産し パパとママになった現在31歳の夫婦。


リサは両親を事故で亡くし1人で頑張ってきたから〜また、自分の家族を持てる結婚も妊娠も出産も嬉しくて毎日に幸せを感じていた。




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