第18話 部活の帰り道。
俺だけピアノじゃ釣り合いがとれないとクレームを入れた結果、ことり先生が数学を教えてくれることになった。
しかも、1人だけに教えているのが学校にバレるとマズいらしく、個人レッスンを学外でだ。
それって、半分デートに近い気がするんだが、俺だけだろうか。と、いうか、俺は、あの巨乳と2人きりになって理性を保てる自信がない。
俺の青春探しは、年上ロリ巨乳女教師と結ばれて、意外な結末になるのかとしれない。って、そんなことになったら、本気で紫乃が枕元に出てきそうで、ちょっと怖い。
話は戻るが、俺はここに来る前は、完全なる文系だった。だから、特に数学が苦手なのだ。金銭的なこともあって、できるだけ予備校は使いたくないし、ことり先生に数学を教えてもらえるのは、かなり有難い。
それと、ピアノどうしようかな。
正直、始まる前から終わってる感はあるのだが、やるなら精一杯やりたい。
とはいえ、そもそもウチにはピアノがない。
エアピアノで本番まで乗り切るとか、さすがに無理があると思うし。まずは、ピアノがある練習場所だけでも確保しないと。
帰り道、グランドの横を通ると、運動部の叫び声やボールを蹴る音が聞こえた。足を止めると、谷原が練習をしていた。
(こういうの懐かしいな)
やり直しの前に通っていた高校は、男子校でサッカーの強豪校だった。部員達は、練習も厳しく、朝から晩まで漬けの毎日を送っていた。
俺はサッカーにはあまり興味はなかったが、たしか、3年生のこの時期は……。
俺に気づいた谷口がこっちに来た。
「なに。光希、いま帰り? ことり先生との面談どうだった? 初セックスした? あの先生、可愛いし色気がヤベーよな」
ことり先生がフェロモンを発してることについては、どうやら、男子の共通認識らしい。
「谷原。先生とは何もないよ。俺のバカさに同情されて、勉強教えてくれることになった」
谷原は、驚いた顔をした。
「まじ? すげー羨ましいんだけど。あの先生、フレンドリーなくせに、ガード固くて有名なんだぜ?」
それこそ、マジ?と驚きそうだ。
なんだか、さっきは求婚されそうな勢いだったが。
「まじか。まぁ、面倒ごとも色々頼まれたけどな」
谷原はサッカーボールでリフティングをはじめると、やや不満そうな声を出した。
「そいやさ。なんで谷原なの? 前みたいに
俺は、財布の中身を見た。
今日は小遣いをもらったばっかりで、大丈夫そうだ。
俺が了解すると、翔に焼肉の割引券を渡された。どうやら、今夜の夕食は焼肉らしい。
焼肉のイラストを見たら、腹の虫がなった。若い身体は、食欲旺盛だ。
ふと、グランドの向こうを見ると、何やらジャージの女の子がこちらを見ている。
「おい。翔。なんかあの子、お前のことジーッと見てるけど?」
「ああ。
ふうん。
どうみても、翔のこと好きそうな視線なんだがな。
何はともあれ、高校の男友達と飯か。
前の身体の時は、高校の帰りに、親友の
なんだか懐かしくて、胸が痛くなる。
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