第24話

理々は、兄のそばに行って、寄り添う。


「12秒、縮めたんだ。最後…」


 かよは、そばまで来た。


 「救急車!!」


 理々は、

「0秒にしたんだ。」と。


 あの魂は、何処にも行かなかった。

 兄の中で、弾け散った。


「お兄ちゃん、死んだよ。」


かよは、萎えて、雨の中、

「うそでしょう?」と、…すすり泣き始めた。


…理々は、知っていた。






 兄は、大学を出て、研究所に勤めるのが夢だった。

 

 このビルの中の研究所には、優秀な研究者が、多く集まっている。


 兄は死んでいるのに、

 理々は、泣かなかった。

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