第23話

その瞬間、稲妻が光り、すぐに雷が鳴った。


「あ…」と、理々。

兄は、振り返りもせず、倒れた。


―兄の中が言っていた言葉。

 雷の後…理々は、頭の中で、12秒を数え始めた。

 12秒経つと、誰かが死ぬ、そして魂が移動する…


(次は、誰・・・!?)


理々は、緊張して、青くなった。


(手違いで、死ぬ人がいるかもしれない)






…しかし、兄が倒れても、誰も兄を見ようとしない。


ただ、傘のかわりにカバンを頭にのせて走る、サラリーマン、オシャレな傘で、優雅にヒールを鳴らして歩く女性。





まるで、面倒なことを、避けたいような人々。







「…20秒以上経ってる。」


・・・理々は、判った。

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