第19話

良太は、いつの間にか、学校の近くまで来ていた。

遠くから、学校の4階から上が見える。


「すまないな。最後の学園生活、3時限目で、終わっちゃたよ。」


彼は、涙こそ出ないが、良太の体が 泣いていることが分かった。


「そっか、会いたいか。

 俺も会いたい。」


彼は、携帯電話を取り出すと、メールを打ち始めた。


『かよ』にメールがいく。


少し待っていると、かよが来た。


「あれ?何で、学校来た時、私のクラスに来なかったの?」


―2週間経ってないけれど…。


と、良太は、しばらく彼女を眺めていた。


「理々の姉には、なるなよ?」


「え?」


「それだけ。」


良太は、自分の人差し指のリングに接吻をし、それを見ている彼女の顎に指を置き、


そして、踵を返し、歩いて行った。


「良太…?」

 

彼は行ってしまった。


彼女は、俯いた。

そして、ゆっくり空を見上げる。


 意味は分からなかったが、


「わたし、ふられたの…?」


そう、空に問いかけた。

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