第14話

「あれ?お兄ちゃん早いね…」

良太は、妹を睨んだ。

「お前こそ」

「私は、インフルエンザ、今頃クラスで流行って…。早退させられた。


…ねえ、お兄ちゃん、

どうしても、何も思い出せないの?」

「……。」

「本当は、何か思い出してい…」

「知らねえよ。

そんなに殴られたいかよ。」


妹は黙った。


―泣くか?

…そう、思ったら、

意外、妹は兄の腹を蹴った。


「っ痛ーー!!」

兄は、腹を押さえた。

「いいかげんにしてよね!!

あたしも、かよちゃんも、お父さんも 皆 お兄ちゃんのこと心配してるのに!!」


―余計なお世話だ。―


そう思ったが、妹が抱きついてきて、わんわん泣かれた。

なんともいえない気持ち…

複雑だった。


兄は、妹の両肩をつかんだ。

「ばか、お兄ちゃん、ふえぇ…」


良太は、…


秘密を…


話そうと…


思った。




『罪』



その言葉が、頭をよぎった。






「俺は、お前の兄じゃない。」

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