第13話
だんだん、いらつきが、大きくなってきた。
玄関に入った時、握りこぶしで壁を叩いた。
「何やってる、オレ・・・」
―そもそも、俺は長い間―
…そうか―
「虚しいもんだ。」
なんとなく テレビをつけ、二階に行き、整理された本棚から、この男と かよとのデートの写真を見る。
「こんな男、初めてだな。」
良太という男は、彼女を一度も求めたことがない。
しかし、こまめに彼女や家族に愛情を注ぐ。
・・・以前『この魂』の入っていた小学生の時…
彼は9歳で、この世を去っている。
今まで、心の濁った人間に、この魂が入りこんだことがない。
すべてが輝いて見えた、今までの人間。
なのに、俺は 何だ?
俺が入り込めば、その人間は『死』ななければならないのだ。
善人たちは、人生が、素晴らしいはず。
…そう思って・・・いや、例外はあったが、
たった『2週間』だったのだ。
その人間達の体を借りられる時間は…。
「望んだはずなのに」
はは、くくく…と、笑っていると、妹が帰ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます