第13話

だんだん、いらつきが、大きくなってきた。


玄関に入った時、握りこぶしで壁を叩いた。


「何やってる、オレ・・・」


―そもそも、俺は長い間―


…そうか―


「虚しいもんだ。」


なんとなく テレビをつけ、二階に行き、整理された本棚から、この男と かよとのデートの写真を見る。


「こんな男、初めてだな。」


良太という男は、彼女を一度も求めたことがない。


しかし、こまめに彼女や家族に愛情を注ぐ。


・・・以前『この魂』の入っていた小学生の時…


彼は9歳で、この世を去っている。


今まで、心の濁った人間に、この魂が入りこんだことがない。


すべてが輝いて見えた、今までの人間。


なのに、俺は 何だ?


俺が入り込めば、その人間は『死』ななければならないのだ。

善人たちは、人生が、素晴らしいはず。


…そう思って・・・いや、例外はあったが、

たった『2週間』だったのだ。

その人間達の体を借りられる時間は…。



「望んだはずなのに」



はは、くくく…と、笑っていると、妹が帰ってきた。

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