第12話
「…今日は 優しくないんだね」
良太は、そう言った彼女の、くったくのない笑顔にギクリとした。
彼女は、自分に『恋』をしている。
いや、自分ではない、前の『持ち主』だ、この体の…。
良太は、スクッと立ち上がり、
「もう 来るなよ。」
そう言って、雨の中、外へ ふらりと出て行った。
「お兄ちゃん、傘…!!」
妹が出ていくと、
兄は、いつの間にか タクシーをひろってきていて、家のそばに立っていた。
「何、今の…」
妹は、不思議でたまらない。
まるで、時空を飛び越えたような…
その兄は、ほとんど濡れておらず、玄関まで戻ってきて
「家まで送るのが 面倒だ。
ひとりで帰れ。」
そう言って、ポケットに手をつっこんだまま、彼女をのこしてウチの奥まで入っていった。
―――次の日、良太の姿が学校にあった。
事情を、保護者から聞いていた先生に、席を案内された。
授業は、体のだるさで、すぐに眠りの体制に入った。
すると、すかさず先生が、良太に問題をあてる。
良太も、すかさず答える。
ところが、3時限目になったところで、
「くだらない」と、言い、
良太は、学校を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます