第11話

「ちっちゃい時、病気でね、それは しょうがないよ。」

妹は、知っていたようだ。

ソファで、肩を並べながら3人座っている。


―前のこの体の魂は、何を考えてたんだ。―


「形だけでもって、私が無理矢理お願いしたの。恋人っていう…。」

と、かよは、言う。


―苦痛だ。―


そう良太は思った。


今の魂が、イライラする。

しかし、一呼吸すると、自然に落ちついた。


前の魂が、そうすると 落ちつくように、きっと訓練したのだ。


「かよちゃんは、母方のご先祖様に、えらい学者さんとか、お役所勤めの人とかいて、お母さんって、神社の神主さんの処に嫁いだんだって。

かよちゃんは、お兄ちゃんと中学で知り合って、最初の内は、お互いの親には、言うの、秘密だったんだけど…ね。」

「うん、結局バレて、でも、公認してくれたんだ。」

「お嬢様と付き合ってるとか、周りでさー。」

「お嬢様なんて」


―女は うるさい、…いや、そんなことは、どうでもいい。―

―俺という男が、どうしてこんなヘマを……―


真っ白だかぐちゃぐちゃだか見当のつかない、この頭の中。


「どうしてだよ…」

「ん?」

「イラつく」


彼女を睨んだ。


「かわいそうだからか?

何様ぶってんだよ、

はっきり言って お前のこと何とも思っちゃいないからな。」

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