第10話

―――思い立ったように、一階まで行く。


妹に大声で訊いた。


「あの女、何処だよ!!」

「え?」

「かよ とかいう女だよ!!

「体冷えてるから、お風呂に…。」

良太は、すぐ、風呂場に向かった。

「駄目だって、何やってるの、お兄ちゃん、ばか!!」


妹が、兄の手を引っ張る。


だるい。


しかし、行かなきゃならない。


そう思った。

妹の手を引っ張たまま、戸を開けた。


妹は、ついに目を閉じた。


「良太…?」


もちろん、彼女は、何も着ていない。


良太は、じっと見たあと、

座り込んだ。


頭を抱える。


彼女の、顔、姿、綺麗な曲線、



しかし、良太という男は、それを目にしても…


「おれ・・・

普通の男じゃなかったんだ…」



―――何も 感じなかったのだ。


―――16歳、思春期の男子高校生。


 彼の身体は、男の機能が まるで、働かなかったものだった。

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