第7話
理々が、
「ごめんなさい、お兄ちゃんが…」
と、言って、タオルを二枚ほど持ってくると、
かよが、ボーっとしていることに、気付いた。
「かよちゃん…。」
「……。」
「理々、お姉ちゃんほしいんです。
でも…叶わなかったら…」
このウチ ひとりの女。理々。
理々は、寒い廊下で 泣きだした。
「記憶喪失って…」
彼女がボソッと呟く。
「え?」
顔を上げる理々。
「覚えてるはずなの。」
「……?」
「バレンタインにあげた指輪、今も 彼、
右手にしてたの。」
かよは、理々の頭をゆっくり撫でた。
「大丈夫。たぶん良太に、何かあっただけのことだよ。きっと 元に戻るから。」
薄眼で微笑む姿を見て、理々は、
その人を女神だと思えるぐらいだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます