第4話

夜、品の良さそうな

やや やせ形の『父』らしき その人は、理々の兄に言った。

「良太。あまり『死ぬ』だのなんだの、理々に言うんじゃない。母さんも、胃がんでいなくなってるんだから、これ以上、妹に残酷なことを言うな。

いいな?」

「理々が、言ったんですか?」

「なんだ?その話し方。」

父は、良太 という自分と目を合わせた。

(でも、本当のことなんだ、記憶はあやふやだけど…かなり昔から…)


「ところで、テストの成績を見せなさい。」

良太は、一旦自室に戻り、カバンの中から、テストを探し出す。


 その時、白のリボンでラッピングされた箱がひとつ入っていた。

 箱を開けると、指輪が入っていた。

 妹のように、手紙は入っていなかったが、今日はバレンタインデーだ。


…父の処まで行き、成績を見せた。

「よし、この調子だ。」

父は、そう言ったが、

良太は

「俺、もう明日から学校行かないから。」と。

父は、ギョッとしていた。

「俺、いじめられてんの。」

 にっこりした良太は、嘘を言ったあと、低い声で

笑いながら2階の部屋に戻った。

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