第3話
理々の兄は、妹からのプレゼントを開けた。
青のギンガムチェックの定規と、こげ茶のシャープペンシル。どちらも金色で縁取られている。
(そうか、俺は『高校生になった』のか…)
乾いた目で鏡を見る。
制服のワイシャツのボタンを4つ目まで開けた。
(この『体』も、いつか『腐る』だろうな。色男もだいなしだ。)
可笑しいのか皮肉なのかも分からず、笑った。
「お兄ちゃん、何やってんの。変態みたーい。」
自分の後ろを見ると、妹が壁によしかかって、言葉と裏腹に、不安げに見ていた。
「俺、受験生?」
「まだ高二だよ。」
「君の名前は?」
「理々。」
「俺の名前は…」
「としひこ」
「ふーん」
すると、妹は、大声をあげて笑った。
「違うよーん、今の お父さんの名前だよーん」
…無表情のまま理々を見る兄。
「俺、2週間くらいしたら、『死ぬ』から。」
一瞬で、理々は青ざめた。
妹は そのまま無言で部屋から出て行った。
その時、妹のプレゼントに、手紙がついていた事に気付いた兄は、それを読んでみた。
いろんな色で、こう書いている。
「お兄ちゃんへ。
勉強頑張ってね!
お兄ちゃんなら、大学 大丈夫だよ!
理々は
応援しまーす(・v・)♪
理々より。」
兄は、クローゼットを開けた。
そして、ゴソゴソと、引き出しを開けて、なにげに「そこ」に、手紙を置いた。
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