第2話

中学2年生の、理々は、

キッチンのテーブルで、頬杖をついていた。


やがて、ガタガタっと、音が鳴ったあと、

『さっきの男子高校生』が、玄関から入ってきた。

男子高校生は、雨の音がするのに、

不思議にも濡れていない。


待ってました!と、言わんばかりに、

「お兄ちゃん!!」と、

理々は、『箱』を持って、飛び出して行った。

「ほら、バレンタインデーだよー。」

高校生は、じろりと、理々を見る。

「名前…」

「え?何?何言ってるの、お兄ちゃん」

「名前なんだっけ 記憶喪失かなー…」

「あはは、たぶんそうだねー」

理々は、ニコニコしながら、「ほらぁ」と、

箱を兄になすりつけた。

頭を右手で、押さえながら、兄は、

「さっき、車にひかれた。」


そういうと、理々の顔は、みるみるうちに青くなっていった。

「お兄ちゃん…」

「妹だよね?」


理々は、箱を落として、

うわあぁんと、泣きだした。

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