第2話

バレンタインデー当日・・・


俺は、逆チョコを彼女(じゃないけど)に渡した。


彼女は、キョトンとしている。


「俺、ずっと好きだったから」


…思えば、あいつと手を繋いだ事さえなかった。

(嫌がると思って)


とぼとぼ、下を向いて 後ろ姿を見せながら、

もー泣いて いいじゃん? 思いながら、

遠くまで来たなあ…と見上げようとしたら、

タタタタッッ

と、

走る音が聞こえてきて、

バンッ!!と、背中に当たったのは、

彼女(違うけど)からのチョコだった。


俺は、ホホを染めながら、

道端にあぐらをかきながら、手作りチョコを開け始めた。


「ギリじゃないから!!」


チョコには、わざとらしいくらい

大きな字で

『ギリ』と、書いてあった。


「ギリじゃないから!!!」

彼女は、もっと大きな声で言うと、

そのまま走り出して行ってしまった。



俺はその場で、大の字になって、

喜びを 大きく叫びたくなった。

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ギリだよ 月白ゆきの @meruka770

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