仕事の檻

朝焼けを見たことがない


通勤電車の窓は曇り空


オフィスの蛍光灯は太陽よりも眩しく


気づけば空は漆黒に染まっている



「やりがいは感じていますか?」


上司の笑顔が響くけれど


その言葉に、私の声はない



名刺の束、終わらないメール


上司の指示、終電の時間


時計の針は進むのに


心の時間は止まったまま



「努力すれば報われる」


「好きなことを仕事にすればいい」


そんな言葉に踊らされ


気づけば檻の中



繰り返す日々の中で


私の時間は


いったい誰のものなのだろう?



夜風が頬を撫でる


ふと見上げたビルの隙間


月が、こちらを見ていた

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