いいねの数だけ、私はここにいる

SNSの海に浮かぶ、無数の小舟


写真、歌、踊り、食べ物、ダンス——



すべてが一瞬で消えていく光のように



誰かが「いいね」を押してくれるまで



今日もまた、私は画面に向かって叫ぶ



配信の中で自分を見つけた気がして



ゲームの中で誰かになれる気がして



ラジオで声を届ければ



届くのは、孤独と拍手だけ



次々と更新される日々のヒーローたち



バズる瞬間を求めて走り続ける



その先にあるのはただの反響



「再生数」をカウントする指先は震える



そしてまた、次の投稿



次の映像、次の感動



きっとこの動画が、私の価値を決めるんだ



次の瞬間、次の流行



誰かが「いいね」をくれるなら



私はただの影じゃなくなる気がして



けれど、流れる画面の先には



何も残らない



その瞬間だけの、虚しさだけが



私を包み込み、消えていく

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