帝都(丘の名前や通貨から察するに、ローマかもしれません)に、1デナリウス銀貨を捧げると願いが叶う『エウロの泉』があります。ここには天使(キビド)と悪霊(エブムサ)がいて、役割分担しながら願いを叶えます。
ある日、この泉に足を痛めて踊れない娘がやってきます。娘は、足を治すよう泉の神に祈ります(泉に住んでいるのが天使と悪霊だということは知りません)。
そして、天使と悪霊と娘の物語が始まります。三度目にこの泉を訪れた、娘の最後の美しい願い――ぜひ、自分の目でお読みください。
私は、この作品の詩的な美しさ、寓話のような雰囲気、何よりも『伝説の時代の終わり』というモチーフから、ロード・ダンセイニを連想しました(メジャーどころではオスカー・ワイルドに近い気がしますが、ダンセイニの方が近いと思います)。お勧めします。
シアン:……これね、すげぇ物語。銀貨一枚で、人の心がこんなにも揺れるなんてすごくない?
ザック:うん、静かな入りから始まって、気づいたらものすごいスケールになっていく。音で言えば、古典曲からがつんと来るのに一気に変わる感じだったね。
リーナ:あたくし、この天使と悪霊の掛け合いにゾクゾクいたしましたわ。とくに悪霊の心情描写……嫉妬や葛藤が、なんとも生々しくて美しいですもの。
シアン:ああ、わかるわかる。天使が無垢だからこそ、悪霊の感情が浮き彫りになるよね。二人の対比がたまらなくない?
ザック:で、その中心にいるのが一枚の銀貨と、ひとりの少女なんだよね。少女の願いが“純粋な祈り”から“欲望”に変わる……その転調が衝撃的だよね。
リーナ:そう。まるで美しい旋律が突如、ノイズ混じりの不協和音に変わるようで……胸を締め付けられましたわ。
シアン:泉に投げ込まれるコインがさ、舞台のスポットライトみたいだったね。そこに映し出されるのが、人間の弱さとか、欲望とか……ぐっと来ますよ、これは。
ザック:描写も丁寧だね。泉の透明感、銀貨の輝き、少女の震える声……全部が頭の中に音楽みたいに響いてくるね。
リーナ:続きが気になって、あっという間に読んでしまいましたわ。読みやすい長さですもの。
シアン:いやほんと、これは読まないともったいないと思いますよ。
ザック:うん。しっかり耳を澄ませて、最後まで聴きたい一曲──いや、一作だね。
リーナ:皆さまもぜひ、この泉にそっと銀貨を投げてみてはいかがかしら?
※勝手に試験的に自著の登場人物に語らせるレビューを作ってみました。
お邪魔だったら容赦なく削除くださいませ。
静かな泉に銀貨が落ちる――それだけの場面から、こんなにも深く心に残る物語が生まれるとは思いませんでした。
『銀貨を沈めた娘と、泉に住む天使と悪霊の話』は、「願いとは何か」「人を導くとはどういうことか」、そして「与える側の心の揺れ」にまで丁寧に触れた、静かで美しいファンタジーです。
泉に住む精霊たちは、どこか神話の登場人物のようでありながら、人間のような繊細な感情も抱いていて、とくに“悪霊”の心の変化には胸を打たれました。
願いを叶えるという行為の重さを、甘く美化せずに誠実に描いているところが、この作品の魅力です。誰しも、心の泉に銀貨を沈めたことがあるのでは――そんな思いを誘う、美しい寓話です。
あるところに ふしぎないけがありました
そこは ぎんかを一まいなげいれてねがいごとをすると どんなねがいごともかなうという ふしぎないいつたえがあるいけでした
あるひ ひとりのむすめがぎんかをなげいれて ひとつのおねがいをしました
ところで いけのそこにはてんしとあくりょうがすんでいました
ぎんかにこめられたねがいをかなえていたのは じつはかれらだったのです
そんな、童話で書かれていてもおかしくないような短編ファンタジーです。
天使と悪霊。
彼らはどうやって願いを叶えるのでしょう。
そして少女の願いは叶ったのか?
短編ながら奥が深い作品です。
ご一読ください。