第10話

 私はサー・ガレン、エリンと共に最後の時を過ごし、静かに息を引き取った老騎士だ。

 最後の呼吸を終え、魂となって天高く昇り、エリンの暖かい光に導かれた私は、幸せな夢の中で彼女を想い続けている。

 私の心は穏やかで、苦痛はなく、ただ彼女への愛と幸せが満ちている。



「エリン、愛しい人よ」



と私は呟く。

 長い旅路の中で、繰り返される人生の中で、彼女を探し続けた私の声は、今は魂となって彼女に届く。彼女はまだあの暖かい家で、花に水をやり、星を見上げ、私を想ってくれているだろう。


 彼女の笑顔が、私の心に焼き付いている。あの小さな魔法使いの優しい手が、私の傷を癒やし、私をここまで導いてくれた。



「エリン、最愛の人よ」



 と私は再び呼ぶ。私の人生は彼女によって報われた。戦場を駆け抜け、荒野を彷徨い、六十年を超える年月でボロボロになったこの体は、彼女を見つけるためだけにあった。

 そして今、魂となって彼女の光に包まれ、私は全てを理解する。彼女がそばにいてくれたから、私は生き抜けた。彼女の手を握り、彼女の声を聞き、彼女の笑顔を見られたから、私の旅は意味を成したのだ。


 夢の中で、私は彼女を待ち続ける。天高くの穏やかな場所で、エリンの暖かい光に抱かれながら。彼女が死を迎える時、私は家族として彼女を迎え入れる。



「エリン、愛しい人よ。エリン、最愛の人よ」



 その言葉を繰り返しながら、私は彼女の存在を感じる。私の魂は永遠に彼女と共にある。彼女が来るその日まで、私はここで静かに待つ。


 エリン、愛しい人よ。エリン、最愛の人よ。私の全てはお前と共にある。お前が私のそばにいてくれるその時を、幸せな夢の中で待ち続けるよ。

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