塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした
雨宮 叶月
第1話 ぶりっ子開始
私は、人気アイドルグループ「LUCENT(ルーセント)」のマネージャーをしている、黒宮凪(くろみや なぎ)。
メンバーは5人。リーダーの成瀬司(なるせ つかさ)、帰国子女の朝倉紫音(あさくら しおん)、 爽やかで癒し系の望月颯真(もちづき そうま)、クールで人気の霧島奏(きりしま かなで)、最年少の天城蓮(あまぎ れん)。若くてビジュ最強、ダンスも歌もうまい。
そんな彼らを、私一人でまとめてきた。
必要以上にベタベタせず、でも管理は徹底。
その結果、私は「塩マネージャー」と呼ばれている。
高身長で目つきが鋭いのもあるのか他のスタッフからは「冷たい」「怖い」という声も聞こえてくる。
別に怒ってるわけでも、機嫌が悪いわけでもない。ただ、無駄な愛想は振りまかないだけだ。
「マネ、もうちょい優しくしてよ」
「マネ、最近また塩分濃度高め〜」
そんなことを言われても、仕事に支障がなければいい。
私はアイドルの友達でも、ファンでもない。プロとして動くだけだ。
ところが。
最近、“自称サバサバ系女子”が配属されてきた。
「初めまして。私、佐伯詩織っていいます。今日からマネージャー候補で入らせてもらいます。」
「私、裏表ないんで、サバサバしてるってよく言われるんです。」
……サバサバはそんな自己申告しない。
いつも通りに接しようと思ったが、なぜか私に絡んでくる。
「えっ、まだこの作業やってたんですか〜? もっと効率いい方法あるのかと思って!」
「私だったらもっとメンバーのケアとかできるのにな〜。 」
正直、うざい。
うざすぎる。
そこで、私は決意した。
ぶりっ子で応戦しよう。
「えぇ〜♡ 佐伯さんってほんとに頭の回転はや〜い♡ さすがに、細かいリスク管理まではまだ教わってないですもんねぇ〜♡」
「マネージャーさん……キャラ変わりました?」
「……こわw(小声)」
メンバーたちも微妙な顔をしていたが、今はそれでいい。
アイドルの現場は常に“見られて”いる。慎重に、そして冷静に対処せねばならない。
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