第19話  美咲ママ登場、過保護は母性の証

「美咲ちゃん、今日も可愛いわぁー、よしよし」


 私、美咲はママ、小宮育代に溺愛されてる。

 もう高校生なのに撫で撫でされる。

 私のママもちはるお母様と同じようにとても見た目が若いので、正直ママをお姉ちゃんだって勘違いしそうに私ですらなる。

 それでも、ママみたいな美人さんに可愛いとさすがに毎日言われ続けると慣れてくる。


 「美咲ちゃんは世界で1番可愛いのよ」


「はいはい、いつものね、ママ」

  

 本当に恥ずかしい。

 ママの勢いは止まらない。


「美咲ちゃんは母性もたっぷりよ、何せ、あの難攻不落のイケメンパパを落とせた私の娘だからね」


「やめてもう恥ずかしいー」

 

 ちなみにパパは単身赴任でドイツに留学中。

 イケメンの心臓血管外科医。

 本当にかっこいい。

 ママの自慢はパパの奥さんになれたことと、芸能人よりも可愛すぎる娘がいることとよく言う。


「過保護で何が悪いのよ、美咲ちゃんは信じられないぐらい可愛いんだもの、そこら辺の芸能人よりも美咲ちゃんよ」


「もうママ、本当私のこと好きだね」


「もちろんよ」


 私のママは私を溺愛してる。

 溺愛具合では、千春お母様と張り合えそうだ。

 ちはるお母様を見て思ったこと。

 もんのすごい。

 若くて可愛すぎる美人さんで本当にお母さんって思った。

 わたしも大概過保護気味に育てられたけど、ちはるお母様は次元が違う。

 歩夢先輩がマザコンになっちゃうのも無理もないなぁって思う。


「過保護で何が悪いの、可愛い子供の子育てなんだから当然よ」

 

 ママもよく私にそういう。

 溺愛されている。

 ちはるさんは無自覚でそれをやっている感じがする。

 私と歩夢先輩は立場が似ている。


 じゃあ、私がマザコンかというとそうでもないと思う。

 私はお母さんが大好きだ。

 母親として大切にしているが、所詮他人でしかないと冷めている自分もいる。

 お母さんはお母さん。

 私は私。

 いつからそういう考えになったか分からないけど、いつのまにかそうなっていた。


 頑張る子には頑張るからこそ最大の癒しを、私が歩夢先輩の心が安全でいられる場所を作らなくちゃならない。

 他人用の私じゃなくて、飾らないただの私でいられる瞬間がある。

 そういう自分に出会うことを私は助けたい。

 人は一人の力では限界があると思う。


 でも、そういうのがいらない人もいる。

 めぐり先輩。

 ほとんどの人は自分の力だけで全て何とかできてしまうことはないと思う。

 めぐり先輩は何かを隠している。

 私の印象は、聖母様だ。

 何だか超越したところがある。


 めぐり先輩の魅力にはきっと秘密がある。

 母性。

 それが体から溢れているのには何か訳がある。

 何かしらの形で身についた才能としか言いようがない。

 努力でなんとかできる類ではない。


 めぐり先輩はありのままの歩夢先輩を理解し、包み込むことができる人だ。

 癒しと受容の化身で、歩夢先輩をまるごと肯定できる一流のカウンセラーみたいな人だ。

 私にはめぐり先輩の真似は絶対にできない。

 でもいいんです。

 私は私ですから。


「美咲ちゃんは私から見たらすんごく可愛いのよ、なのに学校だと、ねぇー?」


「ママぁー」

 

 本当に私が好きでやってるんだから黙って欲しい。

 あれだって私の一部だ。

 闇は闇のまま。

 光で上書きしようとしない。

 包み込むように愛せ。

 誰でも光と闇がある。

 だからこそ、闇ごと自分をまるごと愛してこそ本物だ。

 ママからは一度しかそんなことを聞いていないけど、心に突き刺さっている。

 看護師は人間の闇を見る機会が多いのだろう。

 仕方ない、病気になって心も病んでいるのだから。


「さてと」

 

 私は手早く地味モードを完成させる。

 もはや5分とかからない。


「本当すごいわね、もったいない」


「じゃあお母さん一緒に出てよ、今に分かるから」

 

 ぴんぽーん。


「はーい」

 

 ママが外に出た。


「あらぁー、やだぁ、可愛い」

 

 ママが目をキラキラさせていた。


「鈴奈ちゃんすごく可愛いでしょ?」


 鈴奈ちゃんがいると私の可愛さなんて大したことないのだ。

 自信を持てるわけがないでしょと言ったつもりだった。


「お褒めいただき光栄です。美咲さんもほんとう可愛いですわね」

 

 鈴奈ちゃんは全くママに動じていなかった。

 さすが大人気アイドル声優。

 褒められ慣れているんだろう。


「ママも美咲の言うこと少しだけ分かるわ、世界で2番目に可愛いわ」


「やっぱり私が1番なんだ」

 

 私のママはブレなかった。

 鈴奈ちゃんを見るとすごくニコニコしていた。

 なんだか楽しそうである。


「娘ですもの」

 

 ママの渾身のドヤ顔を朝から見ることができてしまった。


「では、行きましょう、美咲さん。それにしても面白いお母様ですね」


「単なる親バカだよ、鈴奈ちゃん」


「では、行きましょう」

 

 私は私。

 鈴奈ちゃんは鈴奈ちゃん。

 私の1番可愛いところは好きな人にだけに見せればいい。

 それでも私が1番ダサく振る舞っても私のことを可愛いって褒めてくれる子はいる。

 私って愛されてるなぁと改めて感じる朝だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、美咲ちゃん回でした。


もし、


美咲ちゃん、すっごくかわいいです、結婚したいです


今回の話も楽しかったです


ちはるお母さん面白いです、素敵です


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回からは鈴奈と歩夢君の出会いの話です


公開日は5月17日6時頃です。


ぜひぜひお楽しみに!


 

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