影の従者との死闘

 影の従者と名乗るローブ姿の集団は、俺たちを包囲するように静かに動いた。彼らの身体から滲み出る魔力は、これまで戦ってきた魔族とは異質なものだった。


「無駄な抵抗はするな。おとなしくその書物を渡せば命までは奪わん。」


 リーダーらしき男が、冷徹な声で言い放つ。しかし、その目には容赦のない殺意が宿っていた。


「冗談言うな。これが何なのかも分からないのに、ホイホイ渡すわけないだろ?」


 俺は拳を握りしめ、仲間たちの様子を確認する。アリシアは剣を抜き、ミラは魔法の詠唱を開始している。レオンも身構え、戦う意志を固めていた。


「……ならば、力ずくで奪うまでだ。」


 影の従者たちが一斉に動き出す。その瞬間、俺は素早く地面を蹴り、一番近くの従者に向かって拳を繰り出した。


「《神撃》!」


 拳が闇を裂き、直撃した影の従者が吹き飛ぶ。だが、彼らはまるで霧のように姿を変え、すぐに別の場所に再構築された。


「……そう簡単には倒せない、か。」


 アリシアも剣を振るい、魔力を帯びた斬撃を放つ。しかし、影の従者たちは寸前でそれを避け、まるで幻のように動き続ける。


「面倒な相手ね……!」


 ミラが呪文を完成させ、強烈な光魔法を発動した。


「《ルミナスバースト》!」


 眩い光が辺りを包み込み、影の従者たちの姿が揺らぐ。


「今だ、レオン!」


 俺の合図に、レオンが鋭く跳び込み、短剣で影の従者を貫く。今度こそ、影の霧が弾けるように消えた。


「なるほど……光属性の攻撃が有効みたいだな。」


 だが、影の従者たちは怯むことなく、次々と攻撃を仕掛けてくる。


「まだ終わらない……!」


 俺たちは息を合わせ、影の従者たちとの死闘を繰り広げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る