永遠の夏。

のる

chapter1 >自由の少女<

夏の日照りが眩しい昼。

今日も私は何かを欲する。

それは夏の暑さでも…冬の寒さでもなく、そこにある明日を生きたい。

私はただ自由がいいだけなんだ。


9月…それを夏と呼ぶ。

通りすぎる夏風に嫌気がさして、

まだあの日を眺めていた。

ただただ目の前のものにすら

手が届かなかったあの時を。


7月の昼間、その日は溶けそうな

くらい暑かった。私は授業を受けて

いて、気晴らしに屋上にでも…と

階段を一段一段丁寧に歩く。

でも皆は一段飛ばしで先に歩いていく。なんだか先を越されたようで

嫌気がさした。でも…それでも私は

一段一段を歩き…そして屋上へ着く

と…そこには少女が居た。綺麗な

黒髪がなびく、とても素敵な。

でも少女は柵の外側でただひたすら

空を眺めていた。そして何かを

考えていた…私は声をかけた。

でも少女は…そのまま……。


目の前で魂が1つこの世から消えた

助けてあげられたかもしれない。

手が届いたかもしれなかったのに…

目の前の少女はもういない。

手を差し伸べても…決して戻っては

来ない。届かない。


9月…もうすぐ秋へ入る頃合いだ。

私は夏休みに入り…あの事からもう

2ヶ月も経った。だけど、まだあの日を考える。そして相談をしたくても…親からは無視され、友達も皆、

私と関わらなくなった。そして、

この世界が嫌いになった。

誰からも相手にされず、ただひたすら孤独を感じる。そして間違いを

しても…何も言われない。悪いことをしても…悲しくても…もう何も

言われなくなった。あの時、私が

助けられていたらよかったんだ。

ずっと同じ考えにとらわれ続けた。


もうあれから1年も経った。

夏が過ぎ、冬が過ぎ、春になった。

それでもまだあの事が忘れられない

私はもう…自由に生きたい。

過去を引きずりたくない。捕らわれたくない。ただ…ただ……。

   

自由になりたいんだ…。

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